ハイキュー‼︎第335話「夢中」

センターカラーのやっちゃんがかわいい~!古舘先生の描くお洋服は、今の高校生っぽさをすごく感じられるのが大好き。

 

 

木兎さんの回想。小学校の時のクラブチーム・中学校は地元のところに通ってたっぽいのかな。「丑」という地域。1人モチベーションの高い選手についていけない部員が出ることは、そう珍しいことではないと思う。木兎さんは、そうして近道をした部員たちを咎めたりということはしなかったけれど、それは強いからとか優しいからというわけではなくて、「自」と「他」の境界をしっかり分かっていたからなんだろうと思う。それは夏合宿の時に自主練に誘った月島に断られたときにさっと引いたところだとか、「たかが部活」と言った月島に俺はそう思わないけどそれも正しいと思うと答えたのもそうだった。ただ夢中で走って、ふと後ろを見たら誰もついて来てはいなかった。その時の表情に悲しみとか怒りとか戸惑いとかそういう感情の動きは読み取れなくて、「ついて来ていない」という事実だけを抱えてまた走っていく。これがこの時限りの出来事では決してなく「誰も木兎さんについて来れない」チームで彼が3年間バレーボールをやっていたことを思うと、少しつらい。きっと自分のことをそんな風に憐れむことなどしないであろう木兎さんに対してそんなことを思ってしまうのは失礼なのかもしれないけど、1人では勝つことのできないバレーボールで、木兎さんはこのチームで思うように「勝利」とか「楽しい」とかを追及できたのかな、と考えてしまった。

 

 

丑三つ時、真夜中にひとりであった木兎さんは、「梟谷」という同類のものが集まってくる環境で決してひとりではなくなった。木兎さんはあの中学時代を経て尚、きっとずっと変わらず同じようにいて、梟谷に集まった子たちもまた、木兎さんとぴったり同質ではなくても、気を遣って特別扱いをしたり距離を取ったりすることなくごく自然に同じ方向を向いて歩んでいける、そういう環境に出会うことができた。「強豪校」ではそうして皆が高いモチベーションを持って同じ方向を向いて歩んでいけることは当然と言えば当然かもしれないけれど、木兎さんが中学時代の(多分多くの人の目に留まる戦績を収めているとは言えないであろう)チームから「強豪校」に進めたことは、もしかしたら当たり前ではなかったのかもしれない。小学校から中学校、そして高校と、環境がどうであっても変わらずバレーをやってきた木兎さんは、高校が終わっても変わらずバレーを続けると言っているけれど、この梟谷でやるバレーが木兎さんにとって確かに特別なものだったんだなと、「もっと皆とやりたかった」という発言の重みをすごく感じた。この先どんな未来に進もうと、それが恵まれた環境であってもそうでなくても、隣に立つ人がいなくても後ろについて来る人がいなくても、木兎さんは決して変わることなく、あの中学時代の一場面であったようにただ走っていく人なんだろうと思う。だけどだからこそ、「もっと皆とやりたかった」と、今を思う木兎さんの言葉が聞けたのが、改めて嬉しいなと思えた。

 

 

 

リバウンド。まさかまさか、赤葦くんから教わったものだったとは。「リバウンド」って、やはり日向と木兎さんの「師弟関係」のきっかけとなったやりとりがすごく印象的。「リバウンド」は日向が自分自身の戦い方を見つけていく上でも大きなものだったんじゃないかと思うけど、(「下っ端1年のただのミスプレー」と本人は言うけれど)赤葦くんがこういった技術を身に着けていたこと、そして「楽しい」を追及したい木兎さんが誰であろうと何であろうと手を伸ばしてあらゆる戦い方を自分のものにするという素直さと貪欲さを持つ人物であったこと、そういう2人によって、この「リバウンド」が生まれていたのだなと思うと胸が熱くなる。

 

 

赤葦くんの言う通り、一見アバウトなように思える「楽しい」を考え、叶えていくことは本当に難しい。分かりやすい「一発」だけではなく、リバウンドにフェイント、プッシュ…と、木兎さん自身もそのプレーも一見非常に華やかであるように見えて、そこに至る過程を思うと、実際は地道でひたむきな練習の末に獲得されたものなんだとすごく思う。そんな木兎さんに引っ張られるように、桐生もまた目の前の相手・バレーボールに夢中になっていく。

 

 

ついに木兎さんのルーツのひとつを目にして、すごくドキドキした。と共に、どんどん彼らのことが語られていくことにさびしさというか、まだ全部知るのは早いよ~もうちょっと後でいいよ~みたいな、ワガママだけど。笑 そんな感じです。モノローグを口に出さない赤葦くんと、モノローグすらしない木兎さん。2人の関係性について何か展開が見られたらうれしいな~。