ハイキュー‼︎第338話「小さな巨人決定戦」

ガールズの会話が若干ズレてるのになぜか噛み合っててかわいい。そして月島兄に駆け寄ってくる人物。もしかしてこれは!?



鴎台。言わずもがなの星海くんだけではなく、それ以上に厄介なのがブロック。「伊達工以上」と表現された時に伊達工の格が落ちるのではなく、あの伊達工よりも!?って鴎台がいかにヤバいか分かるっていうのはこれまで伊達工についても描写が積み重ねられてきたからだな〜と思う。特に春高直前に練習試合をやったのが効いてくる。



そしてついに、日向は「小さな巨人」に会う。7周年の今、ついになんだなあ〜という感慨がすごい。走って駆け寄っていく日向を見てちょっとじんわりきた。のが、現在の「小さな巨人」は他にやりたいことがあってバレーをやめていて、当時も特に声が掛かったりはしなかった、という事実に、もうもうひれ伏すのみ。めっちゃハイキューだ……!この漫画の主人公である日向、ひいてはこの物語そのもののルーツというか、1番根っこのところにいた「小さな巨人」でも当時声が掛からなかった、という事実に少しピリッと来て、だけれどもそもそも彼はやりたいことがあったから自分の意思で現在別の道を選んでいて多分すごく楽しく過ごしている(と思われる)、この世界にあるのはバレーボールだけではない、そして誰もがそれを選んだり選ばなかったりすることができるという希望。そのどっちもが本当にこの漫画らしいなと思った。



日向に大きな影響をもたらしたうちの1人である影山は「毎日毎日毎日バレーやってきた」子で、俺が何かにゼツボーするとしたらバレーができなくなったときだけだとそう言う人物で、そして日向のルーツである「小さな巨人」は「他にやりたい事があったし高校出てからはやってない」と言う。きっと日向は今ちょうどその2人の真ん中にいるんだろうと思う。高校までバレーをやることと、高校の先でバレーを続けることって多分意味合いがちょっと違うんだろうな。



日向に「がんばれ新小さな巨人!」と声を掛ける「小さな巨人」、良かったなあ。ああこの人は本当に今はバレーをやっていない人だ、という感じとか、そこにウェットなものがなにひとつ乗っていないんだろう、とか。「過去」に未練とかはきっとなくて、だけど過去の自分を見て始めたという母校の後輩にこうやって呼びかけるくらいには高校時代のことがいい思い出の1つでもあって、という。



あんまがっかりしてないという日向。きっと中学時代バレーを始めたばかりの頃や、高校入学したての春に「小さな巨人」に会っていたとしたらこういう言葉は出なかったんじゃないかな。「小さな巨人」って半分概念のようなものに自分を重ねて同じようになりたいと憧れてバレーを始めて、でも自分の身体で勝ったり負けたりを経験したことで、当時見た「小さな巨人」の姿はルーツではあっても「未来の自分」をぴったり重ねる対象ではなくなったんじゃないかな、と思う。



すごく爽やかな気持ちになる回でした。「小さな巨人」はいわば舞台装置のような存在だと思っていたので、まさか出てくるとは、と驚いて、だけど彼自身の人生の存在も、それがバレーとは離れたところにあったこともそこにウェットなものが乗っていないところも、全てが本当に良かった。高校時代に後悔を残した明光が今社会人バレーをやっていることとか、全国出場した/全国出場の経験がある北くんや天童がバレーは高校までと明言していることとか、実際に高校バレーをやめた先を今生きている「小さな巨人」がいることとか、その全てが本当に大好き。鴎台戦、わくわくしてきた〜!楽しみ!