ハイキュー‼︎第243話「それぞれの初戦」

パソコンで烏野の試合を観戦していた池尻のガッツポーズ。彼が引退する時にはありふれた言葉でカッコ悪いなと思いつつ「勝てよ 俺たちの分も」と大地さんに・烏野に託したわけで、この場面を見ると「本当に大地さんに託したんだな」ってすごく思える、というのも変な言い方だけど・・・ああいうのって言葉の綾というか、「お決まり」みたいなもの、っていう側面もきっとあって、そのシーンを盛り上げるために十分機能する描き方だし、それでいいんだと思う。つまり、「名もなき敗者」について描いたあの回で、「名もなき敗者の代表として今回名を得た」池尻が「俺たちもバレーやってたよ」と語ること、それが描かれることってそれだけで意味のあることだと思うんだけど、ハイキューでは烏野の歩む道と共にその池尻の物語もずっと続いてるんだよね。あの回限りのことではなくて、彼の高校バレーの物語も多分まだ続いてる。「勝てよ 俺たちの分も」という部分についてもそう。あのエピソードだけで完結できるし十分いいものなんだけど、大地さんの初夢の回とか今回まで繋がっていて、池尻が舞台装置としてあのセリフを「言わされた」んじゃなくて、本当にそう思って、そう言ったんだよね。これがすごく良くって。

 

試合終了。観客席のカップルは次に梟谷を見に行く模様。このカップルは今後出て来るのかな。もうずっといてほしい。先週の決着の瞬間なんか、線審が旗を振り下ろして椿原のコートに落ちたバレーボールが映った後、1番最初にカメラが移したのがこの2人だったもんね。両チームの選手ではなくて。そして応援席に挨拶する椿原。横断幕は「細き流れも大河となる」。小さな努力でも続けていれば大きな結果に繋がるという意味のことわざ。昨年負けて泣いてしまったOBと、昨年は泣けなかったが今年は涙を流す3年生、そして泣かない1.2年。姫川。椿原の3年生の涙を流すシーンでちょっともうホロっと来る。去年は訳もわからぬままいつの間にか試合を終え泣くことすらできなかった彼らが、今年は、ちゃんと戦って、それでも負けて、悔しさはもちろんあるけど、実感を持って泣けていることはやはり良かったと思える。そして泣かない姫川、月岡。でもこれは去年の3年生の「泣けない」とは大きく違うと思う。表現としては「泣かない」姫川とは正反対なんだけど、一見やる気のないように見える戸美の潜が最後に涙を流したのと同義という感じ。大佐渡監督の言葉としては、「まず飯を食おう」。「負けたチームがご飯を食うこと」は既に確立された意味を持っていて、IH予選の烏野のことをやっぱり考える。椿原が今後まだまだ強くなっていくんだということが想像できる。ハチマキを握りしめる手を背に椿原の初戦敗退の文字。この瞬間から椿原の新しいチームはもう始まっていて、きっともっと強くなれる。

 

そして烏野も応援席に挨拶。大地さんの、田代「さん」と黒川「くん」のバランスとか結構好き。更に、応援席に気付いていたスガさんと、途中で気付いた旭さん、最後まで気が付かなかった大地さんという構図も面白い。人間っぽいというか、いかにも「キャラクター」っぽくないところがたまに出てくるのがキャラクターとして厚みを出している感じある。「自覚している以上にずっと緊張してた」とかもそう。上手いよなー。初夢の回あたりから徐々に大地さんのこういう、一見「ぽくない」ような部分が出て来ているのすごくいいなと思う。

 

潔子さんと再会するやっちゃん。インタビューを受ける大地さんを後ろで茶化すスガさんと旭さん。このインタビュー見せてほしいよー。OB。2年生の黒川さんへの挨拶、めちゃくちゃ気持ちいいよねー。縁下木下成田の3人が、以前逃げてしまった引け目からか?アセアセしてるのがかわいい。普段から嶋田さんと接している山口は「OBだ」と少し関心のある様子だったり、「先輩」という存在に憧れを持つ日向が食いついていたり、というのと対照的に影山と月島は無関心。影山はやはり礼儀とかはキチッとしてるのでしっかり挨拶していてエライ。月島はちょっとお辞儀だけして通り過ぎる。あ、あと細かいんだけどすごく気に入ったのは、大地さんが日向と山口に弁当配ってと指示出しているところ。女マネじゃない。これちょっとうれしかったなー。さりげないけど。あとチーム内の人間関係も、最近は日向と山口が一緒にいる様子をよく見るのでそれもうれしい。人間関係が固まってないのがいい。いつもツッキーじゃない。客観的に「すごい」ヤツと紹介される影山が「残念な理由」があって烏野に、とスガさんに言われているのとかもいいなー。距離感縮まってるよね。当の本人はおにぎりのこと考えてるけど。かわいい。対して日向は「なんと言えばいいのか」と大地さんさえ困惑させるタイプの凄さ。主人公っぽい感じ。

 

そして音駒の試合。烏野はご飯を食べながら観戦。大地さんが映るたびに食べているものが違うの笑うwお弁当におにぎりにバナナ。すげぇ。横にデカく、もあながち間違いではないというか運動やめたら一気に来そうだ…。音駒の試合はハイライトではあるんですけど、夜久さんが拾う研磨が拾う海が拾う、と総活躍しているのがいい。何度打っても決められないスパイカーの方に旭さんは感情移入していて、大地さんはレシーブの方に注目しているのとか面白い。旭さんは自分の経験に重なるところがあるので、分かりすぎるくらい分かっちゃうんだろうね。音駒もストレート勝ち。1セット目はデュース、2セット目は25点先取で勝ちなので音駒が「整って」くると怖い、というのが点数でもうわかる。音駒の子たちの喜び方がみんなそれぞれかわいい。研磨が非常に感情豊か。かわいい。

 

で、梟谷。6-4でリードされてる。まだ序盤、にもかかわらず、木兎さんのしょぼくれモード発動。赤葦の「エッはやい」に笑った。笑ったけど笑えない。これ来週から梟谷の試合かな。怖すぎる。音駒でさえハイライトで終わったのに、序列?というか優先度としては一段階下がるであろう梟谷の試合が描かれるのかと思うと怖すぎる。観客席カップルも次は梟谷の試合見るって行ってたんで、実況役も揃っちゃうんだよね。ちょっと怖いわ。ここで梟谷の勝ち試合描く意味ないよなぁとかって考えちゃうよ。ちょっと来週本当に怖い。楽しみと言えない。怖い。木兎さんたのむ・・・!