ハイキュー‼︎第244話「弱点その6」

今週のハイキュー‼︎初戦を終えた烏野の、それぞれの過ごし方。ジャージを上までキッチリ閉めてアイマスクをして、外を完全にシャットアウトした状態で休む月島に、他校の試合を観戦する影山。どちらも彼ららしい。そして売店へ買い物へ出る日向。と、ついて行く山口。ここのところ日向と山口が一緒にいるところをよく見るんだけど、今回は日向の迷子防止だろうねwこれ見ると、やはり次々期主将は山口なんじゃないかと思える。4人の中で他を見てるのが山口だけもんね。他の3人がダメとかでは全くなくて、単純に性格的なもので、他を気にかけることができるのは1年の中だとやはり山口なのかなという気がする。で、日向が買いに行ったのが、木兎さんの「エースの心得」Tシャツ。大地さんに「買い物行っていいぞ」と声を掛けられた時の「‼︎」とか、財布を持って出た時のソワっとした表情とか、注文した時の目の輝きとか、このTシャツに対する強い思いが感じられて梟谷推しとしてはうれしい。東京予選編の時にこのTシャツを巡るエピソードとして木兎さんが「春高で買えばいい」と話した場面が描かれたけど、もう回収されちゃう。ちょっと不安になっちゃう。

 

で、場面は変わって梟谷。相手校の栄和がリードで梟谷のTO。赤葦のセリフから、木兎さんのしょぼくれの原因の大体が「ブロックに捕まる」「調子が悪い」なんだな、と分かる。以前「相手が強くて凹むことはない」と赤葦は木兎さんに関して語ってたけど、確かにそうなんだろうねー。相手の強さというよりは、自分のパフォーマンスが優れないことで凹んでしまう。それだけ自信もあるからこそかな。で、今回。弱点その6「目立ちたがり」。笑った。サブアリーナで観客も少なくて何かノレない、って感じ。しかも結構序盤にナンバリングされてるのが笑える。木兎さんのことを見るようになってわりと早々にこの弱点を見つけてるんだなと思うと。「なんかさむい…」かわいい。今回の木兎の「しょぼくれモード」は傍から見ればかなりくだらないようにも思えるかもしれないけど、「いやちゃんとやってよ」みたいな気持ちにならないのは監督に長々と説教され、チームメイトも毎度のことと慌てず受け流してる様子が描かれてるのが大きいかなと思った。作中でも木兎さんが「余計な事ばかりに気を取られやがって」とかって言われていたり、迷惑を被ることになるチームメイトが慣れきった様子で「そのうちノってくるだろ」「しょおもな」と言っているので、木兎さんの人間らしい欠点として見れるというか。梟谷は「ズケズケ言い合える仲」と烏養コーチも評価しているように、烏野以上にコミュニケーションの行き届いた仲のいいチームとしてずっと描かれているのもあって受け止めやすいのかな。監督が木兎さんに「バク転の練習」とか言ってたのは笑った。監督が木兎さんに説教している様子を見た尾長が「正直に言わなきゃいいのに」と言っているんだけど、これもいい。何がいいって、木兎さんが正直に何でも言ってしまうからこそチームの雰囲気を崩さないっていうところがあるのかなと思って。良いパフォーマンスができないという時に、自分でその原因がわかっていて、それを周囲に伝えることができるから周りも対処したり、ノってくるの待つか、と受け流すことができる。もちろんそれを受け入れられるチームメイトの大きさと、それでも成り立つ土台としての強さありきだけど。木兎さんの性格とチームの性格とが上手く合致しているのかな。梟谷は梟谷で、結構緻密なバランスの上に成り立っているところがあるのかも。そんな風に「しょおもな」と受け流してくれる先輩たちに「先輩頼もしいです」と声を掛ける赤葦。「もっと言って!」と返す木葉、小見。これはちょっと新鮮。赤葦と木兎さん以外の3年生の会話ってそう多くないし。この様子を見ると、やっぱりレギュラー唯一の2年生の赤葦を先輩たちはかなりかわいがってるのかなと思ってうれしい。結構仲よさげな会話。そしてベンチメンバーの会話。「緊張とかプレッシャーで普段の力を発揮できないなんてことは木兎さんには理解できないことかもしれない」。これもまたいい。木兎さんの天才性を際立たせている感じがする。木兎さんはどっちかというと天才タイプではないと思ってるけど、なんていうか「天才っぽさ」というか、カリスマっぽい感じというか。後の赤葦のセリフもあるんだけど、「木兎さんにとって重要なこと」「他の選手にとって重要なこと」はそれぞれ違うしどちらも尊重されてよいことだ、と思える。鷲尾の「梟谷(俺たち)の方が強いから」もまたいい。梟谷の選手たちからは、木兎さんが機能しなくても十分強いという自負、自信を持っているのがよく伝わってくる。それ故に木兎さんのしょぼくれを受け止められるんだろうとも思う。

 

そして言葉通り、木兎さんが機能しなくてもじわじわと追い上げていく梟谷。赤葦のファーストタッチからの木葉のツー、と見せかけてトス、からの猿杙の得点。とか、上手さがよく分かる。木葉は器用貧乏とかって言われてたけど本当にレベルの高い器用貧乏なんだろうなってすごく分かる。そしてそわそわし始めた木兎さんに声を掛ける赤葦。「メインアリーナは確かに大きくて人も多いがその中の一部しか木兎さんのことを見ていない。対してサブアリーナでは全員が「あなた」を見ているし言わばセンターコートですよ」と。すごい。なんかそれっぽい。最後の一押しとして、観戦に来ていた日向を指差し「弟子も見に来てますよ!」と利用。これは笑った。主人公を利用してるのすごい。春高の開会式の時に、日向に「俺の1番弟子よ〜!」と木兎さんが声かけた際には「嫌な事は嫌って言いな」とかって塩対応してたくせにw日向が木兎のTシャツを掲げているという効果もあり、木兎さん復活。この一連の流れは笑ったけど、ここの赤葦のモノローグはめちゃくちゃ良かった。「正直木兎さんの生態は未だよくわからない」「傍目には滑稽に映ることも木兎さんには重要な事なのだ」。伊達工との練習試合の時に中学時代のトラウマを思い起こした影山について縁下が「その人にとって何が重い事なのかは人による」というようなことを言っていたんだけど、それと通ずるところがあるんだよね。「メインアリーナじゃないから」しょぼくれる、というのが周囲にとっては理解できないことで、何なら赤葦にとっても「滑稽なこと」と思えたとしても、「木兎にとっては重要な事」と認めることができる。それを尊重して手を尽くすことができる。自分が理解できないことでもこの人にとっては重要なこと、と尊重できるっていうのは、考える以上に難しいことじゃないかなと思う。そして木兎さん復活の一発。ここ1番というこの一発を逃してたまるか、失点させてたまるかというように梟谷メンバー3人がブロックフォローに入っているのとかちょっと涙出た。バレーボールの競技としての側面と、漫画としての演出、彼らの人間としての心情みたいなものが上手く合致してる。キワキワラインショット。相手ブロックに当たったボールが頭に当たってしまっても「がんばるもん!」してる木兎さんがかわいすぎる。そして相手コートを跳ね2階席までボールが飛んでいく強烈な一打をもって試合終了、梟谷2回戦進出。はぁ〜〜ほっとした。よかった。おめでとう。

 

試合終了後。木葉の「たまには木兎スルーしてもいいんだからな」という言葉に「俺が引き出せるのは木兎さんの力のほんの一部ですし」「絶好調の木兎さんは見ていてとても気持ちが良いですから」と返す赤葦。木兎さんの不調に対処していくのは義務ではなくて、自分がその向こうを見たいから、という自分本位な理由がちゃんとあるのは安心したかな。「本人に言えば?」「ダメだ調子に乗りすぎる」という会話から、赤葦が普段木兎さんのことを正面切って褒めたりはしないこととか、そんな赤葦が木兎さんを褒めたら木兎さんが喜ぶこととか、いろんなことが分かる。「いつか直接言うんですね」というフラグでもある。まぁ、それすなわち負ける時なんだろうね。正直梟谷が負けるのは受け入れるしかないだろうから受け入れるし、あとはもうその試合を見せてもらえれば、という感じ。そして日向。ついに星海と出会う。これはドキドキする。

 

先週は梟谷の進退がとにかく心配だったから、今週はとにかく安心。一見ギャグ回のようだったけど、実際には梟谷の関係性や強さとか、物語もしっかり見ることができて満足度の高い一話。梟谷はこれからどうなるかなぁ。師弟関係の伏線がここで回収されたとも言えるからちょっと烏野と当たることはないのかなぁとか思えてきた。つらい…。ただ木兎さんが独り立ちできないまま、赤葦やチームに寄りかかったまま引退していくってことはちょっとないのかなと思うので、何かあるかなっていうのはちょっと期待。とにかく梟谷学園高校、2回戦進出おめでとうございます!