ハイキュー‼︎第302話「猫の爪」

「爪が届く」という表現が好き。ただ単純に音駒が烏野の点に追いつくという、背中をつかんだというような意味の「手が届く」以上に、音駒が烏野に追いつき背中に手をかけた時点で烏野にはもう大ダメージ、ということが、猫の爪の鋭さを見るとわかる。烏の背中に猫の手が届いた時、その手の爪の鋭さに烏野が受けるダメージは単に点として追いつかれた以上のものになる、という感じ。あと「爪」はやっぱり研磨だもんね。


黒尾サーブから、烏野は誰に上げる誰に上げる?っていうのが、月島かいや田中か、旭さんか?…と丁寧に1コマ1コマ描かれているので、読んでてもこう目が迷子になっちゃうような感じがして、コートの上でもこんな感覚だったりするのかなってドキドキする。スパイカー4人跳ばせた上で選択したのは直前サーブを取った大地さん、っていうところが烏野の強いとこだよね〜!ここのところで改めて描かれた攻撃参加意識という話が、この後の日向に掛かってくるんだね。


研磨のサーブ、そしてリエーフのサーブは日向へ。ああ日向がちゃんとレシーブ上げてるよ…ってちょっと嬉しくなっちゃうところでもう既に研磨の術中にはまってる。研磨は日向がレシーブの穴だから日向を狙ってるんじゃないよね、きっと。稲荷崎戦があって日向はレシーブを掴んできてて、日向自身その喜びも知って、嬉しかったり得意げだったりする気持ちまでも研磨は利用している。サーブを取った(取らされた)日向はレシーブを綺麗に上げられたってことに満足してしまって、攻撃に参加させないよう仕向けられてるということに気付かない。気付かせない。これは素人が考えたことだけど、日向を攻撃に参加させないと本来烏野が取り得る選択肢をいくつも奪うことができる上、囮としても無効化できる。レシーブは勿論重要なものではあってもMBの日向が攻撃参加できなくなってまで綺麗に上げたとて、その先に繋がる攻撃で日向が可能性から削除されてる分攻撃力はガクッと下がるわけで… 烏野の強みである、全員の攻撃参加意識の高さというところから今回の日向はちょっと外れてしまっている。


こういう研磨が本当に好きだ〜!!これこそ音駒、これこそ研磨だよね。早流川戦の「いつから?」という裏切り方が本当に気持ちよくて大好きなんだけど、今回主人公の試合で、主人公の側からこの音駒の怖さを味わえるのが、ま〜〜楽しい!笑 日向が安定してレシーブを上げていることに喜んで、からのこの研磨、っていう流れが読んでて本当に気持ちよすぎた。あかねによる解説からの、アリサの「あの子が〜」の直後、リエーフのサーブを評価する研磨に続くのもいいよね。リエーフの頭を使ったサーブの背後にいる人は誰か、というところ。


で、コート外から見ているやっちゃんすら「日向のレシーブへの感動」という方に引っ張られているという中で、やっぱりしっかり見えてるのが影山。研磨とリエーフのやりとりを見て何か気付いたところはあるだろうし、その前にも日向に注意してる。


「殴り合いでは負けねえ‼︎」で烏野の流れか、と思ったところで、やっぱりそうはいかない。そもそも音駒は殴り合いに持ち込ませてくれない相手なんだよね。とにかく殴り合いだぞと拳を振り上げる烏野に対して、易々と同じ土俵に上がってはやらず、自分たちのペースを頑として守り続ける(だからこそエンジンかかるまで時間がかかる、とかって言われたりするんだと思うし)チーム。一段階レベルアップしたはずの旭さんのスパイクが、1セット目にしてもう、上げられる。「届いた」のダブルミーニングもよかった。


烏野が殴り合いだと思い込んでるのがもう音駒が優位である証拠という感じ。先週の天童の言った「守備完成の最終段階」とは何か、どういうことなのか全然予想がつかなかったんだけど、今週読んで、最終段階っていうのは、拾われるところに打たされたり、あらゆる攻撃への対策がしっかり講じられ共有されていたりとか、全てに対応できるシステムが出来上がっちゃうという段階なのかなと予想した。スパイクを止める、上げるといった1回1回のプレーではなくて、1試合に渡って適用できるシステム、ガイドラインみたいなものを作り上げちゃうような。


いやゴミ捨て場本当に面白い!もう1セット目が終わってしまうということが信じられないし、着々と試合終了に向かって進んでいるということが既に胸に来るけど、とにかく面白すぎる!!音駒は試合が進むにつれてどんどん整っていくチームだから烏野は1セット目取らなきゃ絶対まずいはずだけど、どうなるかな〜。