ハイキュー‼︎第242話「繋がれるチャンス」

扉絵。3年生。スガさんが中心にいるのは、今回の主人公だからなんだろうけど、3年生の中の立ち位置というので見ても結構スガさんが中心にいるのかなぁとか。3年生だけではなく部全体の関係性の中でもそういうところあるかも。

 

そして烏野高校マッチポイント。スガさんのコート入りに田代が「菅原!菅原!」って言うような感じで指差してたのがすごくいい。一緒に部活をやっていたのはたった数ヶ月で非常に短いにもかかわらずこうやって暖かく見守ってくれているのがうれしい。スガさんの「影山は通過点って言ったけど 俺はやっぱりとうとう来たって思っちゃうよ」という言葉が印象的。これって決して優劣があるわけではないんだよね。「この先ずっとバレーをやっていくこと」を考えて烏野に来て、春高に来た今この時も「この先のバレー」を見ている影山にとって春高は夢の舞台ではなくて、夢の途中にあるもの。対してスガさんは、「烏野で春高に行くこと」がきっと彼のバレー人生の中で大きな区切りだと思うんだよね。やはり彼にとっては通過点ではなくて、夢の場所。ひとつの到達点ではあるんだと思う。それは今後の彼のバレーとの付き合い方にかかわらず。「自分が緊張してんのかしてないのかもよくわかんねえ でも頭はクリアだ やる事はわかってる」。春高に行くという夢はもう叶っているけれども、夢の先でもまた夢は増えていく。今の試合に勝つ事、次の試合で勝つ事。少しでも長くバレーをやるため、少しでも多く勝つために影山を正セッターにするべきだと考えたスガさんが春高の舞台に立っていることって、やっぱり感慨深い。それでもセンチメンタルにならない演出が為されているのもすごくいいと思った。先生が以前スガさんについて語っていた「あっさり且つ強かで、自分のできることを考えられる人」という特徴が見事に現れているような気がする。「とうとう来た」という余韻に浸る間も無く今すること、できることを考えてコートに立つ。セッターの出てくるところを狙ったサーブで相手を乱す。スガさんのサーブの安定感とか、しっかり戦術的に打つところもすごくいい。そして椿原の選手についてよく研究しているのも彼らしくていいし、「体の向きに正直に打ってくることが多い」とされた寺泊が、読んでいたスガさんとは逆の方向に打ったのとかもまたいい。スガさんがしっかり研究してきたことはそれはそれとして、椿原の選手だってそう簡単に攻略されるわけじゃない。

 

体育館の天井やなんかの設備にしっかり適応できたスガさんが田中に「完璧…!」なオープントスを上げる。影山がスガさんのトスを完璧と評価しているのなんかもう泣くよね。エモすぎる。影山が上手い選手として周知されているからこそというのもあるし、お世辞やおべっかを使う人ではなく、実力で烏野の正セッターの位置にいる影山が、今ここ、春高の舞台でスガさんをセッターとして評価しているというのがほんとにいい。そして田中。インナースパイク。「イイコース」なんだけど椿原のリベロ貝掛もしっかり拾う。田中がまた悔しそう。椿原戦では田中が「惜しいプレー」にしっかり悔しがるという場面がいくつも描かれたような気がする。その自分への厳しさが彼のメンタルの強さやパフォーマンスの高さに繋がってるんだろうね。そして椿原の攻撃に繋がるも、今度は大地さんが拾う。椿原と烏野の両方が拾うたびに観客席のカップルが声をあげているのがすごくリアル。どちらにも感情移入してくれているのもいいし、レシーブで声が上がるというのもすごくわかる。初期に西谷が「会場が1番ワッと湧くのはスーパーレシーブが出た時」と言ってたけど、まさにそれ。なんていうか、ヒーローっぽいんだよね。もうダメかもしれないと思ったところで命を繋ぐプレーがレシーブ。ハイキューのリベロに男前が多いのも頷ける。

 

椿原の攻撃に対して烏野が3枚しっかりブロックに跳んでいる。プレーとしても当然レベルの高いことなんだろうし、絵的にも映える。日向が影山と同じ位置まで飛んでるのがやっぱりすごいよな~。そして、ヤバイと思ったところで「菅原 居るーーーー‼︎」これは熱い。コマブチ抜きの演出が上手く「コート」もブチ抜いてボールを繋いでいるという風にも掛かっていて上手い。「ブロックアウトも上手いしフェイントの可能性もある」それを知っていたとしても、ブロックアウトとフェイントって全く真逆で、ブロックアウトが来ると読みながらも「フェイントの可能性も捨てない」というあたり非常に彼らしい。どちらかに賭けてどちらかを諦めたりとかしない。烏野で勝ちたい、でも俺も試合に出たい。だから正セッターには影山を置くべきだけど、俺は俺で試合に出られるように勝手に頑張るから、とか。スガさんが繋げたボールを、影山は日向を囮にして旭さんに上げる。ボールは椿原のコートに落ちて、烏野の春高初戦が決する。スガさんが勝利の瞬間、コートにいること。泣いちゃうよ~。レギュラーに1.2年生が多いことを「凄い」と話す観客たち。確かに凄い。でもその土台に3年生があることを田代さんはしっかり分かっている。「チャンスは準備された心に降り立つ」。1.2年生が入って戦力が大幅に増幅したのは事実ではあるけど、それを十分活かせるのは3年生がいつ来るかわからないチャンスを掴まんと土台を整え、地力を付け、準備していたから。それをしっかり分かってくれる人がいるというのがよかった。烏野、初戦突破。安心すると同時に、ひとつまたひとつと終わりが近づいていることを痛感して苦しくなる。

 

そして先週のタイトル「託されたチャンス」と今週のタイトル「繋がれるチャンス」。先週のタイトルは「(スガさんに)託されたチャンス」と解釈してたけど、先週と今週で続きで、黒川さんの世代、田代さんの世代から託されたチャンスであって、繋がれるチャンスなんだなとようやく分かった。チャンスが託され、繋がれたからこそ今があるというのが改めて語られたことがとにかくよかった。ともかく烏野初戦突破おめでとう。