ハイキュー‼︎第234話「アジャスト」

シンゴジラコラボ。とにかく絵がかっこいい。もうシンプルにかっこいい。巨大化した日向がシンゴジラと対峙しているという、すごいシュールなんだけど、なぜかこの2作は意外と親和性が高いのでは?!と思う。なぜだろう。巨大化した日向の頭の上に影山が乗っているのもかわいい。シンゴジラと対峙した日向がバレーボールを持っているのとか、ユニホームを着ているのとか、もう考えたらキリがないくらいシュールなんですけど。あと、背景の色の塗りとか見て、絵本の挿絵で映えそうな絵だな~とか思ったり。とにかくかっこよかった。先生もかなり楽しんで描いていたんじゃなかろうかと巻末コメント読んで思った。いい絵だな~。
 
  
そして本編。「すみません少し時間貰います」と特に焦った様子もなく声かける影山。に対して、「わかってる」と返す大地さんがいい。大地さんは、まあまあまずい場面でピンチサーバーとして投入された山口にも「ビビることなんか一個もねえ」と声かけてたり、やっぱり頼もしさがすごい。今回は特に影山に対しては、心配することないなっていうのは本当に思っていることなんだろうけど、こういう言葉が自然にさらっと出てくるのはすごいよね。しかも「わかってる」だもんね。信頼と同時に、「おまえならやるってわかってる」という確信と期待。その後の「影山の照準が合うまで持ちこたえる」も良くて、普段影山の超絶技巧によって多彩な攻撃を選択できる烏野が、影山の適応待ちでそれができない時にもしっかり地力を発揮できる、という。先輩としての大きさも感じるし。
 
  
今回春高に入って大きく変わったことの1つ、実況解説が入ること。これはすごいワクワクする。多分県予選でも実況は入るはずなので、白鳥沢戦で入れても良かったんだよね。「決勝」感という今までとは異なる特別な感じも演出できるし。そう考えるとやっぱり春高で使うと考えて取っておいたんのかな。あと思うのは、あの試合においてもはや中立の立場としての実況解説は必要なかったということかな。白鳥沢戦はいろんな要素がたくさんら盛りに盛られた試合だったなと思うけど、根本としては、客観的正しさみたいなものを一切取っ払って烏野と白鳥沢のそれぞれ持つイデオロギーで殴り合う、まさに「コンセプトの戦い」であったわけで、あの試合に中立の立場、ある意味で正しい立場として実況解説を置いてしまうとそこが揺らいじゃうというのかな。ただでさえ初戦から面白いんだけど、実況解説が入るというのもあってそれが増してる感じもすごくある。春高の実況解説って結構マニアックなことにも言及していくので、妄想が広がるという楽しみもある。
 
 
烏養コーチの言葉で影山のミスにもすごく納得。というかそもそも、好き勝手跳ぶ日向に対して寸分の狂いもなくトスを上げるという時点で相当神経使うはずなんだよね。普通にやってるから忘れてしまうんだけど。その上日向のシューズ紛失騒動で試合前に合わせられなかった為になかなか日向との攻撃が上手くいかないと。ちょう納得。影山のような選手でもこんなに会場に苦しめられてしまうなんて、他のセッターではどうなんだろう、とか考えてたんだけど、そもそも影山のドンピシャトス自体大変なことなんだもんね。
 
 
影山の不調に気付いて「速攻ないよ」と煽る寺泊。影山にピク と擬音が付いていたのがちょっと意外だったんだけど、自分のミスで日向が決めきれていないということに自覚的であるからこそ図星突かれて反応しちゃうって感じなのかな。天童の煽りには全く反応してなかったことを思うと、分かっているところを突かれるのには弱いのかな?それに対して「なんで?速攻やるよ?」と当然のごとく煽り返す日向がいい!無意識なんだろうけどね。日向らしい狂気の部分が垣間見える感じ。日向自身は「おれが跳ぶ限り速攻やらないわけない」と思っているわけで、なんの含みもない言葉なんだけど、その本気さもまた囮の役目を果たしているわけだよね。影山のトスが高くて合わなかった時に日向がヘディングしてたのに笑った。アリなんだね。確かに足もアリだし、ボール落とさない限りは足でも頭でも結構何でも許されるのかな。
 
 
観客席のカップルが「あんまり上手くないね」「だってホラ1年ボーズだもん」「緊張してんだろ」と影山について話しているんだけど、影山がこう言われてるのはかなり新鮮。そして、観客席で生で見てるとついボールを目で追ってしまってブロックとかトスとか細かいプレーを見るのって意外と難しいんだと思うんだよね。トスが長いとか短いとか、観戦に慣れている人かある程度知識のある人しかパッと見では分からないんじゃないかなあ。そう考えるとこのカップルの女の子は結構すごい。
 
 
今回は早めに山口を投入。山口のサーブの物語もIH予選の青城戦から始まり、春高和久谷南戦、青城戦、と続いてきたわけだけど、遂に花開いた青城戦からは山口のサーブが烏野の武器になるっていうのが当然のものとして特にドラマティックな演出や語り口なしで描かれているのがいい。彼の活躍が当たり前に期待できるものになっているというのか。今回でいうと、山口にとっても春高の舞台というのは十分緊張を喚起する場面なわけで。元々緊張しやすいというのもあるし。そこに出てくるのが「リセットの信号」。予めWUの時から気持ちを落ち着かせるための目印を作っておく。そしてサーブを打つ前にその目印を見て気持ちをリセットする。バレーボール関係なく結構いろんな場面で使えそうな方法で、納得した。初めて行く大きな会場で何か1つ目印を作るといったようなことって言われたことがある気がする。そして嶋田さんにはほんと頭が上がらない。正月明け早々にこぞって宮城から東京まで応援に来てくれる町内会の人たちっていうのもそうなんだけど、嶋田さんには4月から度々山口のサーブを見てもらっているわけで、自分から教えてもらいに足を向ける山口は勿論、彼らの熱意に応えてくれる大人がいることって本当にありがたい。
 
 気持ちをリセットした山口のサーブを打つ前の細かい思考の描写もすごく良い。標的は4番後方ということなので、まずエースの牽制。サーブを打つ場所を戦略的にしっかり考えているということもいいし、そこに打つためには白帯のどのポイントを通すべきかというシュミレーションもきちっとしている。想定よりリベロ寄りに打ってしまったわけだけど結果乱して、統制のとれた3枚ブロックで仕留める。これこそ山口の思い描いていたサーブ&ブロックの構図なわけなんだけど、これが烏野の標準になったら強いよね。見たいなー。
 
 
月島の速攻は久々に見た気がする。相手ブロックが両手の間少し開いていくのを狙っていく。上手い。ボール1個分から半個分、と徐々に照準を合わせて来ている影山が無表情で日向の方を向くところ、すごくかわいくないですか。すごいかわいい。何を確認するつもりで見たのかな。

からの、大地さんのナイスレシーブの後の大ゴマの影山に鳥肌。レーザーが走ったようにコートが立体的に細かく区分されていて、その中で日向に「ドンピシャ」のトスを上げる。本試合初のドンピシャトスに手をホクホクさせてじんとしてる日向を背景に「お待たせしてすみません」とだけ語る影山のかっこよさ!影山にはコートがこんな風に見えているんだな〜。こりゃ神経使うよなとか、いかに精密か理解できるなあとかあるんだけど、影山にとってはこのコートに立ち、考えを巡らすことこそが喜びであるというのもまた天才っぽくて怖い。影山を「1年ボーズだから下手」と評していたカップルも呆気にとられているのが気持ちいい。
 
 
いや今週も面白かったー。合併号なんで来週はないんだよね。次は再来週。