ハイキュー‼︎ 第233話「最初の敵」

「最初の敵」というサブタイトル。全国の舞台第一の敵は、初戦相手の椿原学園ではなく「床と天井」といった環境ですよ、という話。これがすごくリアルで、私はバレーボールはもちろん室内競技の経験もないんだけど、よくわかる。

 

 

 

スガさんの「お前は緊張とかしねえの⁉︎」という問いかけに「します 今はしてません」「ここは通過点スから」と返答する影山が本当にメンタル化け物で、以前からそんな感じではあったけど、ユース合宿を通して「ここは通過点」という思いをより強固にしたという感じがある。それにしたって、「ここは頂点ではなく通過点」という認識があるにしても、だから緊張しない。という思考がもうすごい。怖い。その「通過点」と認識している地点で終わってしまうという可能性もあるわけで、そこはやはり自信なのかな。とか思ったけど、影山も「緊張することはあるが今はしない」というように答えているわけで、自信も己の勝利への確信もいつだって持っていながら、それでも緊張してしまうという瞬間は、彼にとってどんな時なのかというのがすごく気になる。それからこのシーンにはスガさんと影山の関係性が変わってきたのかなということが感じられて、それがすごく良くて。端的に言ってしまえば、「スガさんが蹴り入れられるくらいの関係性になったのだな、この2人は!」ということなのだけれど。スガさんが「自分の内側に入れて、自分のペースで接していける人」でいうと、田中であったり旭さんであったりすると思うんだけど、勿論そこまではいってないのだろうけど、影山に対してもスガさんは「自分のペースで」接していけるくらいの関係性になったのかなあと思うと微笑ましい。あとは単純に、「通過点スから」と発言した影山と自分との間に変に線引いたりしないのも良くて、これ烏野ならみんなそうなんじゃないかなと思う。「影山スゲェ」ことは皆が知っていることだけど、彼の素直な言葉を誰も嫌味な受け取り方はしないし、この舞台が「夢」であった大半の選手と「通過点」である影山とが対等に戦うのがこの春高という舞台で、そこに差はない。

 

 

 

初戦相手は神奈川第2代表の椿原学園。先週の引きから、もしや相手も初出場なのだろうかと考えていたんだけど、2回目なんだね。2年連続2回目。指導者による変革があったのか、2・3年生に良い選手が集まったのか。烏野が過去に9度出場しているということに割と驚いた。古豪、というのはこれまでも作中で言及されてたけど、本当に強かったのだなとしみじみ。というより、昔は「一度だけ行った舞台」と明言されていたので、先生の中でどんな考えの変化があって設定が変わったのかなということが気になる。現在のいくつもの出会いの奇跡と、3年生を始め選手たちが積み重ねてきた努力、挑戦の結果の5年ぶりの春高出場を思うにつけ、古豪だった時代と、今との狭間に部に在籍していた子たちのことを考えて少し苦しくなる。

 

 

 

そして椿原学園の初出場、昨年について少し語られるんだけど、「ガッチガチになって会場や相手に呑まれ、気付いた時には敗退し帰りのバスの中にいた」ということで、もうそのまま今年の烏野にもありうることなんだよね。

 

 

 

椿原学園監督の烏野評が、当然ながら烏野を研究してきたのだと感じられて、ついに全国なんだもんなあと実感。今までは、烏野自体知られていなかったり、「昔強かったとこだろ」「チビだし」と侮られたり、ということがやっぱり多かったので、烏野もここまで来たんだな、白鳥沢倒して来たんだもんな、としみじみ。そして「攻撃を絞り込めれば対処できる相手だ」というのがかなり図星ついてて痛い。そうなんだよね。烏野の攻撃の組み立てはとにかく攻撃の手を相手に絞り込ませないのが強いという印象。それはついこの間の伊達工戦でも描かれたように「相手に選択肢を絞らせない」ことであったり、烏野の雑食性と攻撃意思の象徴である「シンクロ攻撃」であったり。勿論大佐渡監督の言う「攻撃を絞り込む」ことがすごく難しいことなんだろうとは思うけど。

 

 

 

椿原学園の子たちの「あいつら白鳥沢に勝ってんだもんなー」「ウシワカと当たんなくてラッキー…‼︎」というやりとりがすごく等身大高校生っぽくてかわいらしい。日向とか影山は「強いヤツとやりたい」と考える側の人間で、烏野だとスガさんが初期に「俺だったらなるべく強いヤツと争いたくないって思うけど」と言っていたと思うんだけど、そういう人間らしさが感じられてすごくいい。そして、白鳥沢戦の決着がついた時にも感じたことだけど、白鳥沢や若利くんの格を落とさないのがいいよね。白鳥沢戦は若利くんが最後までずっと強いまま、王者のまま終えて、それが次の舞台に移った今でもこうして続いていて、白鳥沢はやっぱり強かったしそれは全国の猛者から見ても変わらない。

 

 

 

椿原学園3年生、主将でセッターの越後くんが「メンタルを"なんか良さげ"に持っていくのが上手い」と言われていることから「世の中にはたまたまってのが存在すんだよ」という言葉に嫌味もなくて、新しいキャラクターだけどしっかり感情移入できる。

 

 

 

佐渡監督の「猛者を倒した猛者もあっという間に消えるかもしれないこの初戦」というのが沁みる。各々がそれぞれの場所で代表枠を掴み取って来て、それが1試合目でもう半分になってしまうわけだから。あっけなくて、だからこそ尊くて、多くの選手たちの夢の先であるわけで。

 

 

 

スターティングオーダーの大地さんの表情がすごくかっこよくて頼もしい。みんなかっこいい表情してるんだけど、旭さんだけは緊張で顔が強張ってるとかなのかな。

 

 

 

S1のローテーション。先日の伊達工業と開始は同じ。いつもどうだったか記憶してないんだけど、恐らくはいつもと同じのはず。影山の殺人サーブから開始で前衛にパフォーマンス能力が平均して高い田中と、言わずもがな初見の相手には厄介であろう日向。後衛には旭さんのバックアタック

 

 

 

椿原学園は2、3年生半々なんだね。やはりこの2代で急激に力を付けてきたチームであったりするんだろうか。椿原学園の越後は3年正セッターで主将、更にはチームのメンタルを支えてる人という描写もあったのでかなり厄介というか、怖いなという印象。

 

 

 

初っ端影山のサーブがアウト。強気なサーブを打つことは例えアウトでも意味がある、というのはハイキューではかなり定着してきた概念であると思うんだけど、同じくサーブを強力な武器として使える旭さんが「オッケー次1本!」と声かけているのが当然のものとして描かれているのも良い。

 

 

 

全国の舞台だから相手の応援もすごい。烏野はどうなのかな。白鳥沢戦に勝ってからも日向のクラスメイトなんかはあまりピンと来ていない様子だったけど。吹奏楽部のアッちゃんとのやり取りがあったけど、応援に来てくれていたりするのかな。いつもの町内会チームは遥々東京まで来ていてくれているみたいで本当にうれしいんだけど。白鳥沢戦の応援席で冴子さんと明光くんのやりとりなんかもかわいかったし、今回も来ていてくれたらうれしいなー。この試合に関しては潔子さんが応援席にいるはずなので、そこの絡みを見てみたいというのもある…。

 

 

 

 

 

そして冒頭で言われていたような緊張や環境、感覚の違いが現れてきて、旭さんの2段が長くなったのを叩かれる。影山のトスワークは普段から精密さを要求されるしそれがあるからこそ、烏野が多彩な攻撃を取れるというのが烏野の強さの根源的なものというか、基本であって必要不可欠なものなんだけど、最も影響を受けるのも影山で、という引き。顔色ひとつ変えず「悪い 修正する」とだけ告げる影山もまた怖くて不気味である。点数としてはもう3点取られていて、サーブミス、2段のミス、トスミスで、ああ本当に"最初の敵"が強大だわ、とよく分かる。「修正する」のは影山に更に負担をかけることになると思うんだけど、伊達工戦の「おりこうさん」のくだりも合間って、どんな展開になるのかなあ。来週も楽しみ。