ハイキュー‼︎241話「託されたチャンス」

センターカラー。3年生(当時1年生)と田代さん。塗りが淡い感じが珍しい。エモいの一言。潔子さんがめちゃくちゃかわいい。カラー絵の通り、今週は3年生の地力に支えられていることを改めて感じた1話。


田中のサーブから。1p目まるまる田中なのですごい。そしてやはりルーティンがかっこいい。ネットインで同点へ。解説者の「烏野高校は強気のサーブが多いですね」「ミスも多くなりますが重要なことですね」という言葉がもう完璧すぎる。本作ではサーブはとにかく攻めること、戦術的に打つこと、というのが何度も描かれてるしある程度定着した概念だとも思うんだけど、客観的に見て烏野もまたそういう強みを持っているということを言われるのはうれしい。大佐渡監督の言葉も地に足ついているというか、非常に具体的でいい。点を決めるも悔しがる田中もまたいい。烏野ではこれまで影山と旭さんが強力なサーブを打っていて、山口のフローターもしっかり安定してきていて、木下ももう一歩というところ、スガさんが普通のサーブなんだけど肝も座っていてコントロールも良く、武器になるサーブを打てているという感じ。ここに田中のサーブが安定的に強力なものになればすごく強いよね。田中の2本目のサーブでは相手の攻撃に繋がってしまうも、旭さん・日向のしっかり揃った2枚で椿原・舞子へのプレッシャーになっていてスパイクがアウトで得点。改めて日向の高さがすごい。スパイクを打つみたいなジャンプから、しっかり旭さんと同じ高さまで跳んでる。そして田中3本目のサーブ。サーブトスが流れてパンチサーブwそれでも椿原の攻撃をしっかり受け切って、日向の囮の効果で旭さんが得点。椿原のTOで「烏野のブロックはそこまで恐くない」と言われているのとか、ちょっと悔しいんだけど確かにそう。身長も体格もそこまでだし。白鳥沢戦の月島の記憶が新しくてバイアスが掛かっているところはあるかも。ブロック単品ではなくて、フロアディフェンスに西谷や大地さんが控えている安心感が前提にあってブロックがまま及第点というようなことはあるかも。特に日向前衛だと、ブロックの質とは別として、「怖くない」というのは分かる気がする。


で、椿原の得点、烏野の得点が絵でポンポン進む。山口のサーブ失敗があっさり入ってるのとか好きかな。山口はピンチサーバーで十分存在感を出して来るようになったけど、だからといって毎度成功するわけじゃないし当然失敗もする。コントロールが未熟っていう今後の伸びしろも感じられるし、失敗してももう揺らがないという心の成長も感じる。本作のこういうバランスは大好き。直後に寺泊のサービスエース。西谷と大地さんがタッチで鼓舞し合う。烏野のフロアディフェンス職人はこの2人ですけど、お互いにどう思ってるんだろうとか、すごく気になる。からの2本目では西谷がしっかり受けて大地さんが得点。いい。椿原のピンチサーバー三川はフローターサーブ。アンダーで受ける田中は1本目失敗、2本目でしっかり受ける。このローテーションだとライト後方に大地さん、センター後方に西谷だからどうしても田中が狙われやすいのかな。田中が拾って月島が得点するも、ちょっとバテ気味?で、大地さんがそれに気付いている様子。そして旭さんのサービスエース。丸山が仲間を褒め称えながらチームを鼓舞。自分を戦力に数えていない様子だったんだけど、直後しっかり自分で受ける。いいな。ああ言っておきながら、しっかり自分で処理。からの越後のツー!やっぱりツーアタックって見てて気持ちいいというか、スッとする。味方でも敵でもそう。それは本作がどちらにも感情移入できるような形で描写を積み重ねているからですかね。とにかく本作のツーアタック描写が大好き。本作のセッターに「してやったり」が似合う子たちが多いからなのかな。


「まだ帰るには早いでしょー‼︎」と、当たり前にまだまだ勝ち進んで戦う気でいる様子がすごく眩しい。同時に、昨年のトラウマを笑って飛ばせるようになっているのも嬉しい。で、月島と影山。ここのやりとりがめっちゃかわいい。「やべえバテ島か?」「影山(コイツ)今絶対僕のせいにしたな!?絶対いつもより高かったから!」心の中の言葉のはずなのに妙に通じ合っているのがかわいい。影山は以前日向に「バテ山くん」とからかわれてたけど、他の人にも同じあだ名をつけているのもかわいい。月島はここで「僕」という一人称が効いてくる。月島の末っ子感、甘えてる感、弟感みたいなのってやっぱりこの一人称による効果も大きいと思う。と思うと、先生は作為的に「僕」って一人称を使ってる。やっぱり。絶対、絶対、と断定しがちなのとか。まぁかわいいんだけど実際これは口に出すべきやり取りだよね。で、それを大地さんがフォロー。「そうだよ俺たちも 帰るにはまだ早い」椿原も烏野も「負けられない」「勝つぞ」という思いは同じ。現実の春高なんかでも「最後は気持ちの強い方が勝ちました!」とか、「どちらの思いが強いのか」みたいな実況はよく為されるわけだけど、それをこの初戦で丁寧に否定してくれるのは安心。そして烏野高校マッチポイント。この枠付きの文字が出てくると「あ、来る。」という感じがすごい。いよいよ勝敗が決まるんだという実感。大地さんは影山と月島がそろそろ合わなくなると読んでいたというのも流石。1年生が噛み合わないながらもコートに立っていられること、チームの力になっていることの根底にはこういう先輩たちの支えがあるということを再確認させられる。


そして烏野メンバーチェンジ。東京体育館の天井を見上げるスガさん。この仕草がこんなに映える子って彼が1番かなという気がする。この3年間のこととか、影山が入ってからのこと、あの時の自分の決断、色んなものがぐるぐると彼の頭の中を巡っているのかな。そしてカラーの絵を思い出してホロっと来る。なるほど3年生の回だよね、今週は。そして「託されたチャンス」というタイトルはスガさんのこと。先生の以前のインタビューを思い出す。「菅原は凡人代表のセンチメンタルな人物ではなく、あっさりとして強かで、自分の出来ることを考えられる人」そして「全国のコートに1番立たせてあげたい人」。日向、影山の主人公2人とか、ずっと春高を目指してきた大地さんではなくてスガさんなんだよね。これって結構すごいことだなと思う。スガさんは、烏野に入らなかったら全国のコートには立たなかった人物なんじゃないかなと思う。でもそれでも幸せに、満足に高校バレーを終えられる人。でも同時に、何度もスガさんの投入で烏野は得点を取ってきたわけで、スガさんがいない烏野が全国に出場できたか、と考えるとそれは「もしも」の話なので結論は出ないけど、烏野の武器の1つであったことは間違いない。彼が今回のこの烏野チャンスの場面で投入されるのはなぜかと言えば、「彼の投入でチャンスを掴める」と思われているから。その理由もまた簡単で、これまでのスガさんのプレーの積み重ねがあるから。これまで何度も選手交代で入ってしっかり活躍して来たからこそ、彼自身の力で今、全国のコートに立つことができる。スガさんのあの時の決断は決してセンチメンタルなものではなくて、彼自身が考えた「勝つための最善の方法」。「身を引いた」わけじゃないんだよね、決して。自分が勝ちたいからこそ、自分がもっと試合に出たいからこそ、影山を正セッターに置くことがチームにとって最善であると考えた。それでも自分だって試合に出たいし、自分の手で勝ちたいから、その先の試合で勝ちを掴めるように、練習を重ねて来た。自己犠牲なんかでは全くなくて、先生の言った「あっさりかつ強か」「自分の出来ることを考えられる」という表現か全てだなと思う。これはIH予選敗退後、真っ先に自分の進退として「残る」と力強く表明した姿にも通ずることで、「自分を含めたチームが勝っていくこと」という彼の目標は全くブレていないんだよね。その彼が、今、自分の力でとうとう全国のコートに立つということが本当に嬉しくてたまらない。読者が彼に無理やり背負わせる切なさや苦しさ、センチメンタルな全てのものをなぎ払って勝利をつかんでほしい。椿原に感情移入しながらも、やはり今週の最後にはそれを強く感じた。絶対に烏野に勝ってほしいし、勝ち進んでほしい。