ハイキュー‼︎第286話「脅迫」

影山サービスエース。双子のイラついた反応がいいなー。白鳥沢戦の若利くんの「何か嫌だ」だったり終盤の天童のイラつきであったり、強豪校の選手たちが余裕をなくして(…というのかなあ)こう生身そのままになる瞬間っていうのがやっぱりたまらない。

影山サーブ2本目。身構えるレシーバーたちの前に落とす。烏野チャンスボールからの日向の得点、烏野マッチポイント。もう既に泣いてしまっているやっちゃんにめちゃくちゃ感情移入して泣いてしまう。「相手の一瞬のバタつきを見逃さない」って実況解説の言葉から、サーブを打った直後の攻撃でも影山が相手コートをしっかり観察した上で選択した「日向」なんだな〜と感じられてすごくいい。

影山サーブ2本目。稲荷崎の攻撃へ。侑が「次は何をする⁉︎」と警戒されてることこそが「選択肢を幅広く持つことの意味」の積み重なった結果だなという感じがして、烏野がギリギリまで選択肢から削除されずに情報量をぶつけることとも重なるんだけど、その時その時・1回1回の情報量の優位っていうのももちろんあるんだけど、それを積み重ねていくことで「次は何を?」って構えることになって、相手は自分で情報量を増やしてしまうというか、選択肢から削除しにくくなっていくのかなって。侑はトリッキーさ、攻めること、そういうのが強みではあるんだろうけど、王道を選んでも当然ちゃんと上手いっていうのがやっぱり強い。

そして今週ぐっときたのがやっぱり一連の北くんの言葉。これを言うのは北くんだっていう必然性があるよね〜。1から10までを毎日同じように続けることとその価値・そして北くん自身がその価値を分かっているっていうのが大きい。1から20、或いは効果的な・密度の高い1から10、という例えの次に「AからZ」という表現が出てくるのがめちゃくちゃ面白いし、こういう考え方をする北くんが、ひいては古舘先生のことが好き。いわゆる「天才」とか「才能がある」子たちについて「最初から優秀」だと決めつけてかかることは失礼だって北くんが言ってくれるのが安心する、いいなあ。その後「スマンなムキになった」と後輩に謝るところまであるのがいいよな〜。後輩たちがただ「論破」されるっていう風にならないというか、北くんは「先輩」としてこれを言ったわけでも彼らを諭したいわけでもなく、ただの彼の価値観なんだなと思えるのがいい。

バテが出てきてボールにギリギリ手が届かなかった影山。常にコートに立ち、精密なトスを上げ続ける影山の体力的なキツさっていうのはやっぱりあるよね。ここフォローしてなんとか得点した日向に関して「普段からボールと遊んでるんでしょうね」っていうように表現されるのもまた良くて、強化合宿後の日向兄妹のやりとりもそうだし、遡れば10巻あたりの烏養監督の指導にまで繋がっていくわけで、全てが今に繋がっているってことにどうもぐっときちゃう。「文句を言えよ」に対して「次もくれ」と答える日向、やっぱりめちゃくちゃいい!これだから日向は最高だよ〜。手を抜いたわけでもなんでもない、自分に上げられたセッターのトスに日向が文句を言うはずがないし、これってちっとも優しさなんかではない。セッターが上げたトスが本気でスパイカーに託したものである限り日向は文句など言わず次を求めるだけだけど、裏返せばほんの少しでもノイズが混じれば日向は許さないだろう、それが脅迫であり信頼なんだろうなー。いや怖い。好きだ…

「俺はバケモン達の宴に混ざれた人間や ラッキーやなあ」と笑う北くんになんでか泣きそうになる。キャラの多い作品だけど、同じように発言して笑う子って北くん以外にちょっと思い浮かばないかも。

そして稲荷崎サーブは侑。この流れが綺麗すぎる。青城戦を思い出すね。バレーボールのローテーションのルールと漫画的な盛り上げ方が噛み合うのが気持ちいい。侑のサーブで1点取るのは確実かなぁ。次までが32巻収録。単行本発売もあるので楽しみ。

田中表紙。表紙とサブタイトルと帯とで、なんか泣いちゃうねー。