ハイキュー!!第272話「最強の挑戦者」

センターカラー。稲荷崎。背景のキツネがかわいくてかっこいい。稲荷崎はシューズ統一なんだね。黒に青のラインがよく映えてかっこいい。ジャージもおんなじ感じなのかな。

 

タイムを取らない理由としては「アランを休ませないこと」。これは当然そうだよなと思いつつ、考えつかなかった。「割り切る失点をわかってる」という信頼もいい。サーブレシーブにも参加してるし、サーブで崩してもいる、攻撃がままならない場面もある、そういう積み重ねでアランくんに着実に負担を与えてはいる。とここまで言われると逆に不安になるw若利くんも体力や疲労の面で言及されながらも、それでも崩れないという強さ、という文脈につながってたから。こわいなぁ。サーブでエースが狙われてるのは烏野も同じなんだよね。すっかりノってきた田中はまたも内側へ決める。活躍が際立って描かれるシーンもありつつ、こうやって当たり前の強さとしてさらっと描かれるのもいい。

 

そしてスガさん。スガさんの投入には毎度思うけど、もう過剰にドラマチックな演出がつかないというのがいいよね。スガさんはただただ優秀なプレーをするしそれを期待されてコートに入るし、やっぱり毎回いい仕事する。それはメンタルの面でもそう。コートの外にいる分広い視野でモノを見ていて(それってコートの外にいるからってだけではなくてスガさん自身の強みでもあるんだと思う)、西谷に「カタキはとる」と声かけできるのってスガさんくらいじゃないかなって思う。実況が「守備強化が期待できる」と言っているのも熱い。今までの試合なんかのデータもあって、守備の面で貢献できる選手だってことが客観的に言われているんだよね。グッとくる。まだコートに入れない木下はサービスエースを取る、成功する自分をずっと思い描いている。「欲出して」きてるよね。この描写も、椿原戦で思うとおりにならなくてそれでも「俺にしては」と一瞬考えた、あの「普通」っぽさを経てのものなので説得力が違う。そこまで試合に出たことはないけど、メンタリティはやっぱり烏野だよなー。そしてスガさんがコートに入り「2セット目落としても大丈夫とか思ってねえだろうな」って檄を飛ばす。めちゃくちゃかっこいいし、ある程度試合の展開を予測して読んでしまう大人の読者としては少しドキリとした。スガさんはいろんなこと分かっててこれを言ってるよね。自分がその役割だっていうことを考えて、それを担ってる。以前古館先生は「自分に何ができるかを分かっている人」というように語っていたけど、今回はスガさんのそういう面がよく出てるなと特に感じた。「アランくんに膝をつかせて稲荷崎をイラつかせる」のはちゃんと成功して、いいコースにサーブを打ってアランくんを乱す、も攻撃に繋げられる。日向がブロックで触ったボールを「守備強化」を期待されるスガさんはちゃんと繋いで稲荷崎コートへ返す。再びのアランくんの攻撃に2枚で止めた、かと思いきやブロックアウト。サーブとブロックでアランくんをイラつかせたし宮侑のトスも「少し低く」なるくらいには乱したけれども点は稲荷崎へというバランスが見事。点は取られてもストレスにならないというか、この1つ1つのプレーがちゃんと稲荷崎への負担になってるというのが本当によくわかる。

 

稲荷崎ピンサーは1年理石。「ミスったら元も子もない」あたりでもうヒヤヒヤする。ハイキューを読み続けてるから、「入れてけサーブ」がいいように描かれないことはもうめちゃくちゃにわかってる。これやばいんじゃ、と思ってからの、やっぱり烏野の攻撃に綺麗につながってしまい失点。そして味方からのブーイング。実際ただ入れるだけのサーブが相手にとってチャンスボールにしかならないことはよく分かる。応援団すらそれを許さないのは稲荷崎の特徴なのかな。実際ベンチに入れない選手も多くいるんだろうしなぁ。「久々聞いたな」とか「せやから勝負してけって言うたやんか」のあたりから、これがあるってことを稲荷崎の選手たちはみんな共有してるんだろうなと予想できるし、試合の状況によって正しさが変わるわけではないけど大幅リードしてる場面でひよっちゃうって、やっぱりチームの緊張感にも関わってくるんじゃないのかな。それは「優勢だろうが劣勢だろうが」と北くんも言ってる。「最強の挑戦者」という触れ込みで登場した稲荷崎が、全員が同じ意識を共有しているわけではないというあたりに今週のタイトル「最強の挑戦者」へのゆらぎを生んでいる?

 

稲荷崎のブーイングにハッとした顔をしていた影山のサーブ。ノータッチエース。キレッキレ。日向が「穏や影山」と名づけていたけど、やっぱり連想するのは伊達工戦の強者に引っ張りあげられるのが楽しくて仕方ない様子の影山。入れてけサーブを許さない稲荷崎の雰囲気に居心地の良さを感じる影山ってやっぱり主人公の狂気をもってる。ユース後からどうも、影山も日向とは別ベクトルの狂気を帯びるようになったよね。この「ひりひり感」は読者としても本当にたまらない。

 

今週は宮城で読んだジャンプでした。宮城でハイキュー読むことはもうないんじゃないかな。舞台観て本誌読んでアニメ映画見てきてというフルコース。ちょっと感慨深かった。次のジャンプは土曜!