ハイキュー‼︎第329話「全国三大エース」

桐生。「高さとパワー」と言えばこれまでは若利くんの印象が強かったけど、桐生の方がよりパワー重視、らしい。



桐生中学時代。初の2回戦突破と言っているあたり決して強い学校ではなくて、それでもこのエースの桐生が存在感を見せ始めていた頃だったんだろうか。桐生を語るにあたって若利くんや宮双子といった子たちが現れるのが面白い。「キャラクター」として見れば夢の共演みたいなところがあるんだけど、この世界でより上の世界を見てバレーボールをしている子たちの「人生」ということで考えればいい、交わっていて当然だなという感じ。



何よりこの桐生という子の人生においても確かな存在感を持って存在する牛島若利という人物の恐ろしさをやはり思う。「エース」であることの重責や背負うものが若利くんにないとは決して思わない。「どんな状況でも無慈悲に俺を使う事ができるか」という言葉も、そして「それは牛島さんが使い物になる内はという事ですよね」という白布の言葉に笑ってそうだと言ってみせたことも、「エース」としてどう存在していなければならないかということが若利くんの中に確立されているからこそ出た言葉だったと思う。そういう彼の思うエースとしての像がどこに由来するかということを考えてみても、「コイツにあげれば決めてくれると思わせてくれるやつだった」と父が語る「エース」になりたい、というところから始まっているわけで。プレッシャーだとか背負っているものの大きさを感じさせないのは、若利くんの中にそれらが存在しないからでは決してなく、なんというかきっと標準装備なんだよな。そういう緊張感や重責を背負うことまで含めてバレーボールのうちで、そういうものの存在を意識したりとかはあまりしてなくて、それを受け入れ背負い切ることのできる実力も、自信も、それらを裏付ける成功体験もあって。やっぱりとんでもない子だなと思う。そしてそんな若利くんを外側から見た時、より一層「エース」の象徴そのものだというように受け取れてしまうというか。



そんな「エース」そのものであるような若利くんを見て、だけど自分は全然そんな「エース」になり切れなくて「俺は?」と考えてしまったところで、頼り過ぎてごめんなとセッターから言われてしまったこと、なんて悔しかっただろうかと胸が苦しくなる。ここから彼が本当に本当に努力を重ねて、身体も大きくなって、「悪球打ち」と呼ばれるほどに成長して有言実行していることが本当にすごい。今のスタイルの背景に、中学時代の憧れや悔しさや不甲斐なさや、そういう彼の華やかで輝かしいだけではない部分が確実に存在していて、若利くんや侑や日向影山、ってバケモノ揃いの選手が揃う中でこういう子がトップの選手の1人として活躍していることもまたうれしかった。



で、木兎さん。笑 桐生の話にじんときているところに最後の2pでめちゃめちゃ笑ってしまった。すごい…すごくない?このレシーブのすべての流れが面白くてすごい。本当にいとおしくてたまらんなこの子は…



深読みすれば、木兎さんもまた桐生の背負うようなものを背負わない人間、という流れだよね。最後はギャグだけど(めちゃ面白かったです)、すごく綺麗な流れで、密度の高い1話でした!