ハイキュー‼︎第323話「ラストバトル」

音駒2回目のタイムアウト。自分という生身の人間の身体を操って今動いている研磨が、仮想空間である「ゲーム」と現実の「バレーボール」の世界の境目にちょうどいるみたいな感じ。ゲームの中の「勇者」は回復して、蘇生して、そっくり元通りの身体に戻してまた戦うことができる。が、今研磨が操る「勇者」は自分の身体で、体力ゲージは真っ赤のまま、回復も蘇生もできないこのただひとつの身体で戦う。その苦しさを知って1番最初に思いつくのが「勇者ごめんね」なところが、本当に今まさに揺らいでいるところなんだなあと思う。回復も蘇生もできないこの身体で、たった1つの命で取り返しのつかないものを戦うことと、回復や蘇生をして何度も「元通り」にした身体で、永遠を戦わせること。ちょうどその間。

 

 

烏野はマッチポイントを迎える。接戦ではない。あと1点、烏野が取れば終わり。一緒にブロックに跳んだリエーフに吹っ飛ばされた研磨が、「まだボール落ちてない」と叫ぶ。こんなものを見る日が来たんだなあ。泣いてしまう。4話、「まだボール落としてない!」「苦しい もう止まってしまいたい そう思った瞬間からの一歩」。あの研磨が、日向に、ここでこうして重なっていくんだな。日向がはじめから持っていた「勝利にしがみつく力」といういわば才能が、バレーをたのしいと言った研磨の「変化」と、「コートへの執着」という共通項をもって重なる。しかしやはり違うだろうと思うのは、日向のコートへの執着は=勝利への執着である、つまり「次も」コートにいるためのものであるのに対して、研磨のほうはというとやはり「今」なんだと思う。まだこの試合の中にいたい、終わってほしくないというそのままの意味で、まだコートにいたい。

 

 

苦しいのに終わらないでほしくて、終わらないでほしいのに相手のコートにボールを落とすのに必死になっている。その矛盾があまりにまぶしくて泣いちゃう。

 

 

この作品のキャラクターの皆が当たり前にもっているものを、きっと研磨だけは持っていない。それこそが研磨に与えられたものであって研磨に託されたものなんじゃないか。だからこそ、研磨が「持たないまま」変化し、そして何かを見つけるところが見たい。「持たないこと」を矯正されることなく。…すごく抽象的な話になってしまった~~。笑

 

 

だいぶ更新遅れてしまったーー。今日はここまで。