ハイキュー‼︎第270話「三重奏」

宮侑サーブの狙いは西谷、というところから。1pの西谷の「何でもないような」顔に、逆にハラハラするというか、この子はこういう時に焦らないのかそれとも焦りが表に出ないのか、出さないようにしているのか…勿論強がっているとかではないと思うんだけど、西谷みたいな凄い選手が窮地に陥った時の、触れられないような触れてはいけないようなそんな感覚ってちょっと身近な気がしてドキッとした。例のカップルの考察によれば「リベロを崩すことでチーム全体に打撃を与える」及川がやっていたような手法。で、実際のところはというと「強い奴からサービスエースとったら気持ちいいから」というすごく本能的な理由だった。宮侑は初期イメージよりだいぶ精神年齢幼めというか、本能や気持ち良さが1番なんだよね。


宮侑サーブ2本目。ジャンフロ。アンダーで取った、と思いきや落ちる。宮侑のガッツポーズの絵が良すぎる。ゾッとする。大将の解説もまた頷ける。「守備専門のポジションのリベロが活躍できなければコートにいる意味を失う」し、サーブがただ唯一の1人のプレーであるのと同時にレセプションもまたその瞬間はやはり孤独。そして西谷は「必死で平常でいようと」ルーティンをこなす。あの西谷が必死で平常でいようと試みているというあたり胃がキュッとなる。スポーツをする人に重要なのって、「いつも平常・冷静でいること」というよりは、自分の状態に自覚的であって、「平常・冷静」への持って行き方を知っていることなのかなとか思った(木兎さんはこれを自分でできるようになることが重要なのかなー)。そしてそれを知っている強い西谷だからこそ宮侑は、それを倒した時の気持ち良さがほしくてまた西谷にサーブを打つ。会話も相互理解も当然なくとも、ネットを挟んで、何かを共有する瞬間。


宮侑サーブ3本目。なんとかアンダーで上げるも、木下の表情には何かありそうだし、西谷自身「しょぼレシーブ」と悔しがっている様子。強打は無理でもセッターを狙って返す旭さんを見ている、やはり同ポジションの山本だとか、2本目のサーブの時に解説に入っていたのが芝山(と夜久さん)であったりだとか、そういうところがいいよね。同じポジションの子をやっぱり見るんだなー。強化合宿の時もポジションによる視点の違いなんかが見られて、バレーボールという競技に詳しくない自分にもなんだか興味深かった。そしてセッター宮侑に1本目を触らせ、2本目に触る宮治がトスを上げる、ここでついに出てきた「双子の補完」。強すぎる。「宮侑を崩しても…」というのは、ベンチに下げさせるとか、折るとか、そういうことを言っているんだと考えていたんだけど、こういうことか。こんな当たり前のように入ってきちゃうのかよ。そしてそんな双子の補完を「想定内」とブロックに飛んだ月島の頼もしさに胸熱くなったと思いきや、角名が決める。どこから?!以前も、月島がちゃんとブロックに飛んでるのにスパイクを通された場面があったんだけど、まじでわからない。どういうことなの?「大丈夫」「あんたブロック上手だよ」は久々に自分の中で大ヒット来た。このセリフをどう読めばいいのか分からないけど、とにかく月島にとって、抜かれたブロックにこう言われるのはめちゃくちゃ腹立つだろうし嫌いだろうなというのはすごく分かる。「十分上手だけど」自分の方が一枚上手だよ、ということなのか、「上手だから」逆に抜きやすいんだよ、みたいなことなのか、煽ってるのか。いいキャラだわー。


そして絶望の宮侑サーブ4本目。西谷どうなるかなぁ。この試合は2年生にぐっと焦点当たってるね。怖いながらも楽しみ。