ハイキュー‼︎第275話「継続と蓄積」

久々に扉。髪ぴっちりの日向はちょっと瀬見っぽい。かわいいなー。記者、探検隊、研究者、(真面目っぽい)学生。共通しているのはみんな何かをじっくり観察しているような様子かな。


烏野は8点ビハインドで稲荷崎セットポイントを迎える。「諦めんなー‼︎」という冴子の居方も、「たぶんこのセットは落とす 問題はどう落とすか」という嶋田さん滝ノ上さんの見方もわかる。2セット目は多分稲荷崎が取る、というのは読んでいる方としても1セットの終盤あたりから思っていたことで、その中で「どう落とすか」という点が重要、と出てきたのはいいなぁと思った。驚くべき展開ばかりが面白さではなくて、可能性の高い結果に向かう「過程」に注目するとまた別の面白さが出てくる。「どう落とすか」「どう失点するか」っていう見方は、それこそ「入れてけサーブを打って綺麗に攻撃決められて失点するか、具体的な戦略を持ってサーブを打って失敗して失点するか」というようにハイキューでもよく見るし、たまに国際試合を観ていても「どう落とすか」「どう負けるか」と次を見据えていくことが重要なんだろうなと感じるし。対してどんでん返しの可能性について話す稲荷崎応援席はやはり余裕。


北くんの「(治も)侑とDNA一緒やし」に笑ってしまった。ペットに赤ちゃん言葉で話しかけている現場を押さえて北くんをナメる隙がほしいと考える角名にも笑う。稲荷崎は本当にキャラクターの個性出てきた。みんなかわいい。そして北くん投入の意図としては「守備強化」の他に「2年の空気をシメる」。これはハイキューの主将や先輩達の中でもあまり見ないタイプかなと思った(そもそもハイキューの2年生は結構頼もしいタイプが多いかな?)けど、条善寺の奥岳・華さんを思い出したかな。条善寺の2年生と稲荷崎の2年生にも少し通ずるところがあるのかも?


もう一度田中を落としてやると容赦ないサーブを打つ小作。これいいねー。1回持ち直したからといって攻めの手を緩める理由は当然ないし、絶好調状態がいつまでも続くわけじゃないし。当たり前のことだけど。なんかスポーツを描くのって思っている以上に難しいんだろうなと考えてしまった。そして見つめる理石。これは3セット目でもう一度見せ場がありそうな予感。烏野を応援する身としては怖いけど嬉しい。そしてまた角名vs月島!角名が身体を捻る瞬間の、頭がぐっと横に出てくるところがたまらない。素人目にも、月島がいい位置でブロックを飛んでいるんだろうことはよくわかるし、クロスにしっかり位置取っている影山もそう。無言でじっと月島を見つめる日向、無表情の月島、そしてギャラリーが烏野を下げているあたり、絶対何かある、やられっぱなしで終わっているわけじゃない、と、思うんだけどわからないなー。いわゆるトータルディフェンスのような、月島がストレートを締めてストレートで上げる、みたいなことなのかな。角名はミドルで早い攻撃が来るし、打数としても多分めちゃくちゃ多いというわけでもなくて、若利くんの時みたいに常に複数枚ブロックをつけるのは難しいのかな。その上持ち前の体幹で、たとえクロスにコースを絞られたとしても広い範囲に打てたりするんだろうか。黒尾だったらどうする、がめちゃくちゃ聞きたい。これ絶対後の月島の対策が成功して、黒尾も同じように考えてたというパターンだよ。ハイステで黒尾月島、木兎日向の師弟関係にかなり焦点が当たっているので、研磨が黒尾に話を振っているのが結構エモい。


西谷とずっとフローターサーブを練習していた木下が声をかけているのが既にぐっとくる。きっと気を遣ってわざと軽い調子で話していて、それでも表情は固く、静かな西谷に胸がぎゅっとなる。からの旭さんがほんっとめちゃくちゃエモい。「お前ならできる」と言えないのは、"あの"西谷でも取れるかわからないという、西谷に対してめちゃくちゃにリスペクトがこもった言い方だなと思った。何も考えずにお前ならできるよと言うことは簡単だけど、それってあまりに抽象的で何にもならない。旭さんはそうじゃなくて、「Aパスじゃなくても俺が決めてやる」と言い、やっと西谷の表情に笑みが戻る。かっこいい。朝から読んでほろっと来てしまった。多分いつも人をよく見てて、人一倍ガラスのハートで、折れてしまったこともあって、そういう旭さんがエースとして自信を持って「俺が決めてやる」と言えることがまずぐっとくるし、例えばこの試合中に急に西谷が急成長してオーバーが苦手なのを克服できるなんてことはありえなくて、そういう中で「上げれば俺が決めてやる」とエースが頼もしく発言してくれることって本当に大きい。夜久さんがケガで離脱した後のリエーフが芝山に謝られて「どうして謝るんだろう?バレーは1人で完結するわけじゃないのに」と考えたことと少し似ている。西谷の「背中は俺が守ってやるぜ」の反転のような。お互いがお互いを信頼していて、尊敬し合っているからこそ、自分ができるのはここまで、あとは託す。あるいはここまでは頼む、後は俺が決めてやるから、と、任せることができる。めちゃくちゃ熱い。「Aパスじゃなくていいですけど高くください」の影山もいいよね。タイミングとかアレだよねっていうけど、実際Aパスじゃなくても旭さんが決めてやる、の間には必ず影山がトスに入るわけだから、絶対に言うべきことなんだろうと思う。西谷への無言の信頼もある。より優れているものを求めるっていうのは。


稲荷崎は北くんが釘を刺し宮侑サーブはジャンフロが確定。このもう逃げられないヒリヒリした感じが気持ちいい。実況の「運命の第3セット」という言葉に胸がぎゅっとなった。このセットで決まってしまう。既に両校の3年生の引退を思うと苦しい。また来週。ついに最終セット。