ハイキュー‼︎第226話「まぎれる」

扉絵。伊達工のブロックを象徴する強大な壁を少しずつ崩していくような日向のイメージ。ちょっと新鮮。新鮮というか、日向が堅実にひとつひとつ攻略していく姿というのが、作品全体のイメージではあるんだけど日向の印象としては少し新しいような感じ。囮という役割を持ってコートに立つことになった日向が段々とひとつひとつ着実に「基本」を獲得していく過程がまさに今、なんだろうなー。

先週の引きの通り「紛れる」日向に伊達工ブロックが少し意識を取られ、旭さんが得点。白鳥沢戦の最後と同じ、マイナステンポから1stテンポへ「紛れる」。セットを取ったにもかかわらず、「クセで」フライングいっしゅう〜!と声をかけそうになる大地さん。いいなぁこれ!全国出場を決めた烏野でもペナルティがクセになるくらい負けて来た。このフライング練習が絶対力になっているはずだって強く思う。一方伊達工もペナルティとして「アザラシ」。烏野のペナルティに対して、こちらも勝利のためにレベルの高い当然をこなしているというのがいいよね。それにしても「アザラシ」してる伊達工の面々がかわいい…。黄金川の赤ちゃんっぷりとか、青根二口のプロ赤ちゃんっぷりとか…みんな赤ちゃん。かわいい。

そしてコーチと月島による解説。月島が伊達工のブロックを解説しているのがまた熱い。伊達工のブロックのすごいところとして、日向の凄さ、怖さを知っているにもかかわらず身体が引っ張られるとか、コミット付けた方がいいとかっていう迷いに惑わされず、日向に取られた点は割り切る。そして全ての攻撃について行ってコースを絞り、フロアディフェンスで拾う。日向にどれだけ決められてもブロックに迷いが出ないこと。改めて、伊達工は烏野にとっては最も分の悪い相手なんだなと実感。そして、「伊達工の超理想的なストーリー」を語る月島、あまりにもかわいくない?ノリノリ。かわいい。

そしてコーチと日向たちの会話もまたいい。確かに、初期からずっと言われてきた日向の売りというのは、攻撃に走る早さ、そしてスパイク攻撃自体の速さ。それを捨てたとしても、別の方法のほうが有効であるからにはそちらを選択する。その行動原理として日向と影山に共通している点が彼らのモノローグの中で語られる。「先へ行くんだ 先へ行くんだ 追いつかれないのがおれの武器」「対応されたら対応する それをサボった方が先へ進めなくなる」外側だけ見ると、烏野の武器、日向と影山コンビの武器というのはとにかく速いクイック、というように思えるんだけど、実際には彼らの武器は「追いつかれないこと」だった、っていうのが、言葉の操り方もまた秀逸。バレーボール的な話で、追いつかれないこと即ち物理的な速さというのは実際あると思うけど、物理的な「追いつかれなさ(速さ)」だけの話ではなくて、追いつかれないよう最大限の努力をできること、新しいことを選択していけることこそが彼らの強みの本質っていうのはすごく納得。

そして「紛れる」からのいつもの「はやいほう」。この揺さぶりが相手にとってひどく厄介であるというのがすごくよくわかる。そして情報の選択、選択肢の消去という点で川西が例として挙げられているのがめちゃくちゃテンション上がる!日向がまさに「情報増やしやがる非常〜〜にイライラする相手」と言われているけど、日向にとっては最高に褒め言葉だよね。そして以前の烏養監督の発言の答え合わせ。この答えがここで来るとは思わなかった。熱い。

そして月島の「烏野の超理想的なストーリー」で引き。ひとつひとつのプレーのほんの少しのズレがチームに追い風を吹かせるという流れがすごいワクワクする。月島がそれに自覚的であることも非常にいいし。そもそもこの「超理想的なストーリー」という表現の多幸感がすごい。今週は烏野の歯車が合っていく感じがすごく気持ちよかった!