ハイキュー‼︎第332話「スター」

木兎さん!とにかく木兎さん。もうあんまりにもかっこいい。1ページ目からやられる。木兎さんの活躍っぷりがこれでもかと見られる冒頭7ページ、とにかく華やかでかっこいい。試合がぐっと盛り上がったのがすごくよくわかる。そしてサーブを打つ木兎さんを見上げる赤葦くん、という絵があまりにも胸に来る。同じコートに立っているはずなのになぜだかそうは感じられなくて、何というかさびしい。ノータッチエースを決めた木兎さんの誇らしげな横顔と、ただただ「すごい」とつぶやくだけの赤葦くん。木兎さんはメンタルの波に左右されがちな人(だった)だけど、きっと同じくらいに自分の力で自分を持ち上げて、自信を持って、自分のことを誇れる人でもある。

 

 

上げる小見。いいなあ~!研磨の言葉にそうそうって頷くばかり。が、赤葦くん。あまりに思いが入りすぎてこれはヤバイフラグ…と思ったらやはりホールディング。あーーーここからのモノローグがあまりに苦しい。読んでいてこちらまで苦しくなってしまうような話っていうのはこれまでも何回もあったんだけど、ああ「推し」ってこういうことなのかなって今回ちょっと分かった。読めなくなっちゃう。稲荷崎戦とか音駒戦を見ていても、この大会で一回り大きくなった選手たちは一度メンタルがどん底に落ちてから周囲の助けを借りて、そして最後には自分の力で上っていくのが本当にかっこよくて、カタルシスもものすごくて、メタの話をしてしまえばこれは赤葦くんが成長するための最後のステップだと、分かってはいるんだけど、それでもあまりに苦しかった。

 

 

赤葦くんね~。私はやはりあの「嫉妬しますね」がずっと気になっていて。

 

pero2pero.hatenablog.com

 

彼が「上手い選手」に言及するのは何もこれが初めてではなくて例えば夏合宿の影山のトスを見たときの「俺には技術的に無理です」なんかもあったんだけど、上の記事にも書いたけどやはりそれとは違ったんだよね。限られた時間の中で自分に合った方法でやるべきことを模索していくためには、技術的に可か不可か、という判断を下すことはやはり大切なことだし。だけど「やってみようと思いきれることに嫉妬」はその前の段階でやめちゃってる、というかやめちゃってすらいないというか。選んでいないから。だからずっと気になっていて、ああなんじゃないかこうなんじゃないかって考えていた。くせに、こうやってはっきり描かれたものの生々しさがあまりにも辛かった。誰誰のようであればと、自分からも切り離してしまうのか。そこまでだったのか、と。

 

 

いつでも、どこまでもフラットな木兎さん。「絶対に負けられない戦い」とか思ってない?に続く言葉が「今まで負けてもいい戦いはあった?」であること。やさしいなと思った。やさしいというと少し違うのか。木兎さんは赤葦くんを「正す」のでもましてや「助けてあげる」のでもない。わかってるよな、という信頼があるだけ。

 

 

木葉がまた優しいよね~。この子が特に構えることなく自然に怒ってくれるってことが、チームにとって良かったなって場面がきっと今までも何回もあったんじゃないかなってすごく思う。明確にこういう役目を担うわけでもなく、自然とそうしてくれることがね。そしてね~~~。木兎さんから「だって赤葦だもん」という言葉を聞けたことがやはり嬉しいんだ。木兎さんの言うことはいつも正しい。きっとその正しさに置いて行かれてしまう子だっているはずで、だけどそんな木兎さんをして「だって赤葦だもん」と言わしめたこの子は、2年かけて「こいつは分かってるしついて来れる奴だ」とそう思わせているわけでしょ。そんなのすごすぎる。這い上がるしかない。「だって赤葦だもん」って、「赤葦」を丸ごと認めている、信用している。ほかの誰でもない「赤葦」であることそのものが木兎さんの信用の根拠(信用よりもっと無意識的な、「知っている」という感じ…赤葦だから大丈夫って知ってる、わかってる)。そういう言い方であるように思う。今木兎さんが「コイツなら大丈夫」と一度ベンチに送ったのは、影山でもない侑でもない赤葦くんなんだよ~~。

 

 

本当に苦しい苦しすぎる回。だけど木兎さんが「だって赤葦だもん」と言ったので。大丈夫。どうか赤葦くんが、ほかの誰でもない自分の身体でバレーをやっていく・勝っていく未来を彼自身が喜べるような、そんなものが見られますように。