ハイキュー‼︎第306話「照準」

カラー、アリサと潔子さん!いつもと少し雰囲気の違う感じ。服がまたおしゃれで可愛い。ハイキューのキャラが着てる服が本当にかわいくて大好きなんです…アパレルコラボとかも、キャライメージじゃなく作中衣装そのまま出してくれたらいいのにとめっちゃ思う。


初っ端から木兎さん!もうドキーーーーーっとして朝5時からパッチリ目が覚めてしまった。2人とやっちゃんが会話してるのが描かれるのは初めてなんだけど、描かれてないところで何かしら接触はあったんだな…と想像できる距離感で、かわいい。烏野は春高予選から今まで、白鳥沢戦以外第1セット先取してきてたんだねー。白鳥沢戦のイメージが大きかったのか、稲荷崎戦の時に「第1セット取れちゃった!」ってイメージがすごくあったから、ちょっと驚いた。白鳥沢戦は5セットマッチなのもそうだし、圧倒的に格上で、しかし未知の相手っていうこともあって、落とした第1セットの印象というのも確かにまた違うものがありそう。


更に追い込む梟谷2人。笑 赤葦が最初に重いしね、なんて言ったのに木兎さんを小声で窘めてるのがかわいかった。やっちゃんがどうしても考えてしまうのは、やっぱり終わりのこと。でもこれは、そうだよね…やっちゃんがネガティブ気味とか、過剰に考え込んでしまいがちというのももちろんあるけど、仲間の強さを知っていて信じていたとしても、コートの外から冷静に見れてしまう立場だからこそ、いろんなことを想像してしまうっていうのはすごく分かる。以前よりバレーボールの知識を身につけているからこそ、漠然とした不安ではなくて、見えているからこそハラハラしてしまう場面もきっとあるだろうし。


で、木兎さんがまたこれかっこいいんだなあー。感覚派のように見えて、必ずしも自分の感覚を共有しない人にもしっかり伝わるような言葉の選び方が実はすごくうまい。ツッキーの時然りね。「その瞬間」の時もそうなんだけど、木兎さんが話すことっていつも「今」の話なんだよね。将来がどうだとか、次の試合で勝てるかどうかとか、負けたらとか、そういうのは「一先ず」どうでもいい、と横に置いて、いつも今を見ている。未来のことや、未来のことについて気にすることを否定するわけでは決してなくて、だけど「今」「目の前のこと」が今の自分にはすべて。コートの外でも内でもそう一貫して言い切れる強さが、やっぱりすごい(し、木兎さんのことを一貫してそうやって描いてくれる先生は、「今」っていうのが木兎さんの根っこの部分だとずっと考えていて、変わっていないのかな、と伺えて、それもまた嬉しい)。チームのみんなが折れそうな時でも1人だけ元気っていうところも、しょぼくれ要因は常に自分きっかけというところも、「今」を大事にする木兎さんを思うと、すごく腑に落ちる。「今目の前の相手をぶっ潰す」ことが全てという木兎さんは、「負けたら」という、ある意味自分やコートを俯瞰するような位置から物を考えるようなことってしない。だから相手がいくら強くても、いくら劣勢でも折れない。「今」という一点しか見ていないから。だけど反対に、「今」しか見えていないからこそ、今の自分の調子に違和感を感じてしまったらもうそれが全てになってしまって、そこから一気にしょぼくれに向かっちゃう。(きっと、相手が強かったり劣勢だったりして、本来なら木兎しょぼくれないでくれって場面でも関係なく)「今」の自分がダメだと思ったらもうダメ。いや…難儀だなあ。笑


「そんな事考えて水差しちゃダメだよ」、結構言葉が強いよね。負けたら、なんて考えるのは試合の邪魔になるよ、だもんね。やっちゃんはコートに立っているわけでも、潔子さんのようにベンチにいるわけでもないんだけど、木兎さんはそのやっちゃんの立場でさえ「負けたら」なんて考えることを許さない、っていうのはそのまま木兎さんにとっての「コート外」(観客)の存在の大きさ(良くも悪くもってことなんだろうなあ)を感じる。コート外のたった1人が負けたらって考えてそんな顔をしていたりそういう雰囲気を醸し出していることがコートにいる選手に影響する、っていうのはちょっと自分にはない感覚だった。観客の存在も含めて木兎さんには「試合」あるいは「競技」なのかね〜。


「水を差す」の使い方を赤葦に確認するところで2人の思想が当然のごとく一致していることが示唆されているのもまたぐっとくる。「負けたら、なんて考えることは試合の邪魔になるよ」という意味で「水を差す」という言葉を使うことに赤葦も納得してるってことだもんね。木兎さんと赤葦が度々噛み合わない感じを見せながらもある一点で完全に重なっているというのがいいよね〜。「ぜんぶ勝つ」もそう。


「水差しちゃだめだよ」とかなり強い言葉を使っていながらもそこまでキツく感じないのは、この前後も含めて普段より口調が優しめなのがあるかも。あと、木兎さんの言葉を受けたやっちゃんがびびったり怯えたりしてなくて、一方的に言葉をぶつけられてる感じではないっていうのが大きい。木兎さんの言葉を「痛気持ちいいです」とまるっと吸収できるところなんてちょっと恐ろしくすらある。


木兎さんがあいつらではなく「俺達」という言葉を使ったのは、音駒・烏野という「あの夏の俺達」を括ったというよりは、もっと大きく、「コートに立つ選手たち」を全部ひっくるめて大きな話をしてるのかな、と思った。それは読者に対してという意味でも。「あいつらをこう見てほしい」と外から諭す感じではなくて、あくまで当事者としての言葉。


「俺達がどのくらい強くなったか」見るということは、負けたらとかこの先どうだろうとか余計なこと考えずに今この試合の俺達の強さを見ていてほしい、ということでもあるし、今の俺達の強さを見てれば、負けたらとか考えられなくなるよ、みたいな自信や力強さも感じて、いいな。読者として、特に梟谷に関しては思い入れの強さも展開的な読めなさもあって、やっぱり「この先」を考えすぎてしまうっていうのはすごくある。だからこそ今週の木兎さんの言葉は本当に刺さって、やっちゃんみたいに「痛気持ちいい」なんて言えず、ただただ痛かった。笑 まだまだ木兎さんの強さの真骨頂が発揮されるのを見られてはいないようにも思うし、やっぱりそれが見たい。だからとにかく期待したいな、しなきゃダメだなってちょっと反省した。


「あの夏」を共にした全国常連の強豪のエースの3年生で、試合中のメンタル面にはやはり課題を抱えている「完璧」ではない人、だけど自分の大切なものを決して譲らないで持っていて、それを言葉にできる。そういう木兎さんが、後のこと・未来のことを考えて思い悩みがちなところのあるやっちゃんに対して「今 見て」と言うことの説得力だとか、木兎さんがその役目を担うことへの納得がすごくあった。普段はすごく愛嬌のある子なんだけど、こういう時に「ああ木兎さんかっこいいな」「木兎さんってこうだよな」と素直に受け取れる気持ち良さとか、居心地の良さもまたある。


今度の研磨のサーブは笛と同時・そして引き続き日向狙い。烏野はミーティングの通り西谷が上げる。烏野は派手で目を引くようなプレーが目立ちがちだけど、スガさんがいっているように、「地味」な1本・1点を守ること・積み重ねていくことがいかに大切かということをしっかり分かっていて、だからこそ「派手な」プレーも選択できる、そうやって強くなってきたっていうことがやっぱりすごく気持ちいい。


そしてリエーフだよ〜!東京予選の時は入れるだけで精一杯だった子が、コートの状況を見た上でしっかり意図を持って、そして意図の通りの場所にサーブを打てた。結果的には上げられたわけだけど、猫又監督の言葉が本当に全て。そしてこれを言える猫又監督はやっぱり本当にいい監督、指導者だなと思える。この言葉があったからこそリエーフはこれからも、「考えてやってみる」ことを積極的に選ぶことができるはずだし、彼はまだ1年生で、高校の間だけ見てもあと2年のうちに着実に技術をつけていくことを思うと、めちゃくちゃ心強いし、怖い。


で、旭さん!プレーが実況解説を追い越していく気持ち良さが本当に凄い!木兎さんの言葉を受け「今」を見始めたやっちゃんに、烏野の「今の強さ」のこれ以上ないくらいの説得力を持って叩きつける最高のプレー!「ミスをするかも」という思考は二の次だという烏野に冒頭の木兎さんの言葉が綺麗に重なっていく。ここで(今大会で)やっちゃんが、烏野のコンセプトを真に理解する機会を得られたっていうのは本当に大きいよね。今大会勝ち上がっていった先のことを見ても、そして翌年以降を見ても。本当に気持ちのいい1話だった!