(恐らくは)コートを離れようと歩いている月島に声を掛け、満面の笑みで握手を持ちかけた黒尾を見て、きっと誰もこの人に敵わないんだろうなと思った。互いに抱いている思いとか感謝とか希望とか、そういうの改めて口にするわけじゃないしきっとコートに全て置いてきたんだろうなと思うけど、これからも月島のブロックの中に黒尾が存在し続け証明を重ねていくんだなって、この試合が終わり黒尾の引退が決まった今改めて噛み締めてる。
互いに肩を抱く烏野3年生の背中、絵のパワーがすごかった。勝ったはずなのに、どこかもう2度と戻らないものへの寂しさを感じてしまう。
きっと万感の思いと共に猫又監督の手を握る武ちゃん。半世紀前から続くこの「ゴミ捨て場の決戦」を繋いだのは彼だった。勿論1番はじめ、猫又育史と烏養一繋という2人の青年の出会いと約束がこの物語の源流であることは確か。それでも50年近く経った現在において、烏野と音駒の彼らを繋ぎ、そして現在の彼らと50年前の青年たちを繋いだのは確かにこの人だった。コートに立つことはない、采配を振るうわけでもなく、バレーボールに特段思い入れがあるわけでもない。たまたま烏野高校のバレーボール部を受け持つことになっただけのただの1人の教師。そんな人が生徒の熱を受け止め、次へと、さらに広い世界へと繋いでくれたからこそこの試合があった。
老いてすっかりしわしわになった手に重ねられる若くみずみずしい手と、そして同じに皺を刻んだ手。終わったんだなあ。形は変わっても約束は今果たされて、そして終わってしまった。
音駒。ありがとう、とそれだけ口にする監督と同じくありがとうございましたと返す部員たち。読んでいる方としても音駒に対してはなんだかそういう感じで、言葉にならない思いというのはたくさんあるんだけど今はただただ「ありがとう」なんだよね。
ゴミ捨て場の約束。素直に言うと私は今後の研磨のバレーへの向き合い方(きっと今までとは違うものになるんだろうなとは思う)がどんなふうになるのかって全然想像できないんだよね。日向と研磨の間で「別に以外のこと言わせる」っていうすごく閉じたものとして結ばれていた約束が、研磨のバレーボールの変化があって、今影山が加わって、日向と研磨だけのものじゃなくなるんだなあと感慨深い。
終わりだけどまだ終わりじゃない。きてしまったよ〜〜梟谷。
ひとまず、音駒のみんなお疲れ様、そしてありがとうございました。ゴミ捨て場の決戦、楽しかった〜〜!