ハイキュー!!第288話「空腹の伝染」

タブレットで烏野の試合を観る伊達工。「烏野追いつきましたよ」に対してキランッと目を(?)輝かせる青根と、「ハンッ」「しぶてえな」と嫌そ~~な顔をしてる二口の違いが面白い。「しぶとい」のは烏野と稲荷崎どっちに掛かっていくかな、どっちもかな、とも思うけど、やっぱりこの場面は同じく「しぶてえな」と苛立っていそうな侑と角名にも重なっていくよね・・・青根、二口、青城の子たち、白鳥沢の子たち・・・そのそれぞれが抱える思いやこの試合を観ることに対するスタンス、感情移入の度合い、そういうのが当たり前だけどみんな違っていて面白い。

 

月島が空けたところに、日向。数週前月島が、日向はいつもこれを これ以上をやってんのか、と言っていたけど、その裏返しとして今週、日向が月島のブロックの上手さに改めて気づくっていうの、良かったなぁ。月島と日向がブロックとスタミナっていうことに関してそれぞれ強みと弱みを裏表で持っているの、すごいよね、まさに太陽と月。もちろんそれぞれの課題を乗り越えていかなきゃいけないわけなんだけど。日向はそのまま助走へ入る。ウシロ・マイナス!と見せかけて、打つのは旭さん。これ、春高編入ってからかな、もしくは春高編入ってから目立つなと思うんだけど、画面の切り取り方と構成によって、読んでる方も日向が打つと騙される、って演出がめちゃくちゃ気持ちいいんだよね!それもエピソードとして日向に焦点を当てた演出を振りにして、囮に使われるので、こっちに上げるのかよ!っていう烏野のネットの向こうのブロッカーの気持ちを疑似体験できているようで、なんだかわっくわくしてしまうんだよねー。

 

しかしそれでも稲荷崎も上げていく。ちょこちょこ赤木が上手いんだろうな~と感じられるのがいい。前足で上げた時もそう。大将の「ブロックと連携してるからこそ」っていうのがこの場面だけじゃなくて先の日向と月島についても掛かっていくのがいいな。月島が触ったボールを田中が何とか繋ぎ、影山が走る。この場面でなお、めちゃくちゃにきれいなトス。旭さんが「この先」そして「新しい1年」について言及したのに少しドキッとした。この1年、影山のトスを一番多く打ってきたであろう旭さんをして「羨ましいと同時に少し同情する」と言わしめる影山のトスは、いつもきれいであるからこそ、この場面でさえもきれいであるからこその無言の圧みたいな息苦しさみたいな、そういうのがあるのかなー。「ボールが落ちるまでの全部が繋がっていて」、それを最後点にするか、しないか、っていうのはやっぱりスパイカーに懸かってる。「スパイカーに有利な状況を」作る技術の滅法高い影山から上がったトスに乗っかってる重たいものっていうのがやっぱりあるんだろうな。で、そんな独白をしながらも旭さんだってやっぱり「烏野の」エースだな、っていうのが、以前から試してた「打つタイミングをずらす」っていうのをここでもやっていく、そして成功させるっていうところ。かっこいいよな~。心臓小さくて、1年前には強大なブロック相手に一度折れてしまった旭さんが今、烏野のエースとしてコンセプトのど真ん中にいることがうれしくて仕方ない。烏野に入学してからの1年生の大きな成長っていうのが連載が始まってから5人のそれぞれにあって、特にこの試合では2年生に関してもみんなそれぞれ一回り大きくなったように思える場面がたくさんあって、そんな中で、既に「安定」「土台」としての確立された強さっていうのが強調されていた3年生だって、まだまだいろんなことを試して挑戦して成長していくんだなと感じられるのが良かったなあ。そしてそして、その旭さんについて語るのが二口であるっていうのがたまらないよねー。旭さんが乗り越えた、過去の伊達工という壁(二重の意味で)だって、旭さんに乗り越えられていった壁、のままでは終われない、終わらせない、そういうメラメラしたものも感じられた。伊達工がこうやって描かれることになるとは、あの頃は思わなかったよねー。連載の積み重ねというのもそうだし、誰のことも悪役にしない描き方がそれを可能にしてるのもあるよね。

 

烏野高校、マッチポイント。これが最後のマッチポイントになるか二転三転するかはまだ分からない、けど、決まるんじゃないかなぁ。ラストの見開きがカッコイイ。ジャンプ電子版では好きなページをTシャツにできるらしいけど、ちょっとほしいかもと思っちゃった。次は土曜。早いよ~。