ハイキュー!!第283話「信条」

北くんイン!まじか!とちょっと驚いた。守備と精神面の安定が目的。主将である北くんが「思い出なんかいらん」の横断幕を見てこの言葉は好きやない、と言っているのになんだか安心した。私はめちゃくちゃ好きなんだけど、高校の部活の横断幕として掲げるのにはギリギリだなと思うから。北くんは、道は前にだけあるわけではないということも、来た道の価値も知ってるし、昨日より何か1つ挑戦を、というチームのあり方の中で時に「無茶」をしてしまうことも多分それを手放しに賞賛すべきではないということも知ってる。昨日の結果や過程をすべて今日の結果のための材料や養分にしてしまわなくても、昨日をただそのまま大事にすることにも意味があるし、昨日得たものや昨日したことを超えていかなくたって、今日も明日も同じように継続して、その先で得られる安定とか土台の強さを北くんは大事に思ってる。そして同時に、自分の信条とは異なるものを持つであろう双子とか日向・影山を理解はできなくても、「見とると確かに心沸き立つ」。北くんって、彼らのあり方を理解しなくても認めてるしその上で、彼らとは違う自分の心情や大事にしたいものが揺らがないし、なんで揺らがないかっていえば、その根拠が自分の「継続」の経験にあるから。そして挑戦もムチャもするメンバーの背中を守ることが役割である自分に、大地さんを重ねて、「アンタもそうなんやろな」と語りかける。ここ数週かな、北くんが大地さんを意味ありげに見ているようなところをよく見たし、ここで来たか!という感じ。

 

角名のアタックには月島が継続してコース絞って、大地さんが拾うという形で対応してる。んだけど、月島もかなり体力ギリギリ。烏野チャンスボールで大地さんレシーブからのシンクロ攻撃、月島と影山が合わない。ボールが落ちる。月島と影山が意地張り合って自分の責任だって言い合ってるのが微笑ましい。前までは「今の絶対高かったから!」っていうように言ってた月島だけど(実際そうだったのかもしれないけど)ガンガン変わってきてる。日向はいつもこれ以上を、とモノローグしてるのが熱い。影山もここは俺のミスだと譲らない。フンゾリッが笑える。実際ここは、影山が「今の」月島の状態を見て、トスを上げるところまでが仕事かなとも思う。

 

「今のはフォロー可能なボールの気ィするけどな」の裏では大地さんが「次決めるぞ!」と声を掛ける。

 

そして旭さんノータッチエース。めっちゃくちゃかっこいい。狙うのはずっと同じ、そして終盤で照準を合わせ全力の強い一発。むっちゃくちゃ頼もしくなってる。北くんの位置だけど手が出てない、の次の一本では北くんがしっかり上げてるのもいい。

 

そして侑の「いつだって今が最高のチャンスなんや」で、双子速攻マイナステンポ・裏。が、合わない。そしてそれをフォローするのが北くん。自分の強みをしっかり分かった彼の言葉通りの「背中を守る」プレー。

 

そして烏野のコンセプトは変わらない。「今この1本殴り合いを制す」。「仲間のフォローを捨ててまで攻撃に参加する意味はあるんか?」だけど、そもそも大地さんのコートの上での存在意義はそれだけではない。烏野は全員が点を獲るために居る、って大地さんの独白で入るのが熱い。そして「体力ギリギリの月島が跳ぶのかよ」っていうこと自体が囮になってて、「仲間のフォローを捨ててまで」大地さんが打つ。北くんの腕を弾いたボールは稲荷崎の横断幕を揺らす。すげ~~~これ!まず今週焦点が当たった月島の流れと大地さんの流れが噛み合ってひとつの展開につながっていくのがも~きれいすぎる。そして、これまでは烏野が飛び道具ガンガン投げてどんどん新しいことをやっていくための土台で安定を担っていると思われた大地さんが今、「点を獲るため」の最前線にいるのがぐっとくる。バックアタックない、と思われた大地さんが、この春高・稲荷崎戦相手にガンガン攻撃に参加していく、新しいことやっていく、っていうのが烏野のコンセプトそのものという感じ。

 

ただすごく思うのは、背中を守る北くんが稲荷崎のコンセプトからは若干逸脱していることと、大地さんが烏野のコンセプトの中にいることってそれ自体が勝敗を分かつわけではないということ。烏野は個々の力が突出しているわけではなくて、だからこそ数で翻弄する・選択肢を増やす・情報量をぶつけるっていうのが、今彼らが考えているもっとも有効な戦い方であって、とにかく掛け算の最大値を常に攻撃に振ってぶつける、という感じ。稲荷崎は個々の能力がぐっと高い上にそれらを掛け算してあらゆる組み合わせで攻撃に大きく振るけど、守備を0にもしない。守備が0にはならないからこそ、攻撃の選択肢をどんどん増やしていけるっていうのもあるし。

 

ここでまた合併号なのツライね・・・角名が特に説明なく標準語だからもうひとつエピソードありそうかなと思ったけど、北くんも何かありそうだし、スパイカーへの態度みたいな面でまだまだ発展途上っぽい(そしてきっかけを未だ掴んでなさそうな?)侑も何かあるのでは・・・ついに両校20点台に乗って、ほんとにいよいよという感じ。ハイキュー今年も面白かった!また来年だ!