ハイキュー‼︎第312話「照準・2」

センターカラーの研磨がいい。これアオリ付きで単行本に入れてもらえないのかなーーと思ってしまうほど、文も込みで綺麗。



研磨と黒尾の関係性がやっぱりすごく好み。 互いに「こいつめんどくせえな」「お前めんどくせえな」と言い合いながら、その面倒くささを面倒くさいまま放っておけるところ。理解しようとか、もっと言えば矯正させようだとかそういうことはしない。そういう面倒くさい部分があるのは長年の付き合いから既に知っていて、面倒くさいところを面倒くさいまま受け止めている、だけどそこに特別優しさや思いやりみたいな感情はない、みたいなところ。タイプの違う2人だし、特に研磨はかなり変わった子で、そういう2人が小学校の頃からああいう付かず離れずの関係性でやってこれてるのはこういうところだなとすごく腑に落ちる。勿論黒尾の性格や距離の取り方によるところも大きいし。



五色の「なんかやれよ日向」には、稲荷崎戦における金田一の似た発言を思い出す。続くラリーでは、いつも以上に夜久さんの凄さが印象的。これも全部今週のラストに繋がってるよね。打っても打っても決まらない烏野について小鹿野が発言した「くっそしんどい」という言葉が研磨に重なっていくのがまた面白い。くっそしんどいのは烏野だけではないし、何なら研磨こそ、体力的な問題がかなりデカイ。そしてそれを見逃さない月島、これは気持ちいいなー。黒尾も監督コーチらも研磨がバテ始めてるのには気付いてるけど、まだ様子見。音駒はこのセットで一旦研磨を下げて3セット目で勝負としないあたり、このセットも取れる勝算があるのか。あるいは今週ラストの「守備の完成」が監督には見えてたんだろうか。「がっかりするには早い気がするねえ」と研磨に語りかける猫又監督に少し安堵した。立ち向かう相手として日向が「こんなもんじゃない」と期待されている、その能力を信用されているというのにすごくほっとする。更に、コートの上の全てを知っているようにすら思える研磨だけど、研磨が思い至っていない部分の存在がしっかり見えている大人がいる、となった時に研磨が少し人間らしく子どもらしく見えるような気がして(研磨に対して"なんだ、研磨も人間らしいところあるね"なんて言うのは彼の魅力を殺しかねないのかなと思って、あまり好みではないんだけど)。



ほとんど機会のない大地さんのBAに、音駒は自分たちの特性を活かした非常に効果的な対処を、もうして来てる。スガさんが言っている通りの「対応の早さ」もそうだし、自分たちの強みを理解した上でその強みを根拠とした対策を練る、そして成功させる、というのを当たり前のようにやってくるからやはりすごい。「俺達ならな!」に滲む自信が素晴らしいし、黒尾がこれを言うっていうのがまたいい。自分たちへの自信や誇りを、黒尾が自分自身のこととしてこう感情的に主張するっていうのは今までなかなかなかったような気がする。



そして遂に音駒は逆転し、得点は20点に。「守備の完成形」の答え合わせ。なるほどな!思い出すのは東京予選・音駒vs梟谷。天童はこういう「守備の完成形」があるということを、分かってたんだな…分かっていてなお、ゲスブロックによる1回1回の「止められるか否か」の勝負と、その快感を追い求め続けることにこだわった。それが彼のプレースタイルであり、彼がやりたいとしたバレーボール、というのと、「(理想的な、あるいは効果的な)守備の完成形」へのリスペクトみたいなものもきっとあって、それらは矛盾なく両立し得る。



今週の日向は、「ベンチメンバーとして」のリアクションすら描かれていなくて、今どんな顔をして何を思っているのか、何一つわからない。こわいし苦しい。さっきまでは「日向以外は」いい調子の烏野だったから日向のことが気がかりだったけど、音駒は逆転し20点台へ、そして守備完成、というところまで揃ってきて、日向、そして烏野はこれからどう展開していくかなあ。というところでまた次回。