ハイキュー‼︎第299話「秩序と無秩序」

表紙、日向が銀さんの衣装!似合わないね!笑 かわいい〜。こうなったら見たいのは月島の(旧)真選組隊服だよね…鴨太郎…
 
 
山口サーブ、3本目。ここまではリベロのいない方を狙って打てていたんだけど、今回は夜久さんの方へ打ってしまう。西谷が目を輝かせているのがいいなあ。自分の仲間のサーブが取られてしまったわけなんだけど、西谷が「衛輔くん」と慕うのも納得な夜久さんの綺麗なオーバーのレシーブにはやっぱり敵味方関係なくテンション上がっちゃう、っていうのはすごく分かる。
 
 
音駒が綺麗に攻撃に繋いだ時はやっぱり烏野のブロックは出遅れがちで、研磨が技術的に・能力的に突出しているわけではなくてもその動きの少なさ(と勿論ゲームメイクのセンス)がいかに効果的か、ということがすごく分かる。すごいのは研磨のこういう強みは連載初期にもう既に語られているものであるということ。この試合はこの作品のゴールというわけではないけど、6年をかけてこの作品が向かっていた行先のひとつは確実にこの試合だったんだな、と感慨深い。
 
 
芝山くんとリエーフのやりとりって東京予選からずっと、どこか感覚的な感じ。「後ろに居るから」と言った芝山くんの言葉を聞いたリエーフがその後「夜久さんじゃねえよ」と気付き口にしたように、今回も「君は君だからね」と、かなり相手に預ける部分を残して言葉を投げかけるんだよね、この2人は(というか芝山くんがかな)。芝山くんはリエーフに合わせてわざとぼやけた言い方をしてはいるんだけど、まあリエーフはピンと来ていない。笑 私の印象では、リエーフは具体的にどうこう言うとやる気がなくなっちゃうというよりは、ムキになったり逆に空回りしたりしちゃうかな、という印象が強い。わざと回りくどい言い方をすることでリエーフが浮かべたクエスチョンマークがきっと無意識に彼の中に残っていて、後の具体的な経験と共に思い出され、核心に触れる、というような学び方がリエーフには合ってるのかなあと思う。だから芝山くんの考えは確かに的を得ているなと思う。だけど普段からスパルタ教育を受けていて何でもキッパリハッキリ言っちゃう夜久さんだとちょっと別、っていうのも分かるかも。
 
 
黒尾サーブ。西谷と田中の間の床を跳ねる。ンニ゛ャア゛ッシ‼︎!実況解説で黒尾が褒められているのを見るとなんだか特別な嬉しさがあるなあ〜。そしてそのオールラウンダーな黒尾でも夏時点ではサーブでここまで活躍するところまでは来てなくて、夏→東京予選→春高、と段階を経て今、この試合でサーブを完成させて来てるっていうのがまたいいんだよね。頼もしくてもう完成しているかのように見える3年生だけど、本当はまだまだぐんぐん成長している途中で、この試合の中でもきっと伸びていくんだなぁ。
 
 
山口。私は全く味わったことのない感覚なので分からないんだけど、思い出したのは影山の「コートの中の緊張をくれ 息苦しさをくれ」。
 
 
黒尾サーブ2本目。大地さんが綺麗に上げる。黒尾がまたいい表情してるよね〜!影山は月島に上げる。研磨と黒尾の「もう1点くらいとればいいのに…」のやりとりに笑った。めちゃめちゃ簡単に言う。研磨としてはクロはもっとできるでしょと思っているということなんだろうし、もっとやってほしいとも思っているということだよね。
 
 
田中のスパイクを音駒はなんとか上げるも、返すのみ。木下が直接の関わりはないと思われるリエーフを下の名前で呼び捨てしてることにちょっとときめいた。仲のいい人からもそうでもない人からも自然と下の名前で呼ばれる子っているよね。リエーフは名前の呼びやすさがあるだろうと思うけど。それでも月島が頑なに「灰羽」なのもかわいい。そして月島もリエーフの変化に気づく。音駒と最後に会って以降烏野で最も進化したのは月島だろうと思うけど(日向も勿論そうなんだけど、日向がぐんぐん進化するというのは見ずとも分かるので勘定のうちという印象)、それは音駒におけるリエーフを見ても同じことで、「もっとチョロかった」筈のリエーフが今烏野にとって未知の脅威になるかもしれない、というのがいい。進化したのは、未知の可能性を持っているのは烏野だけではない。それにしてもリエーフのポテンシャルがどの程度あるのか、またこの試合でどの程度発揮される可能性があるか、というのが読者にとっても未知、っていうところがまたリエーフの面白いところかも。東京予選で確実にきっかけを得て、そして試合において実践して吸収したものが、彼の圧倒的な身体的卓越性とも相まってどの程度プレーに・得点に繋がるか、というのはまだ分からない。なんだかリエーフ主人公の物語もまた読みたくなるよね。連載前の読み切りの日向が、身長が高くエースに憧れている素人(ほぼ素人、だったっけ…)であったことを思うと、リエーフという人物の源流はそこにあったのかなあ。
 
 
日向はリエーフのブロックを視界に捉え「こっちはだめだ」と下に打ちおろす。が、音駒は上げている。夏合宿で「最後の一瞬まで自分で戦いたい」と声を上げ、空中でボールを扱うことができるようになってきた日向と、スパイカーに反応してぴょんぴょん跳んでしまうブロックから確実に進化を遂げているリエーフだから、以前とは明確に違う高いレベルで戦っている。そのことがすっごく嬉しい。そしてそれでも「ナイスレシーブ」に繋げる音駒がやっぱり強い。シンクロ攻撃。
 
 
シンクロ攻撃を烏野がはじめて取り入れた頃は、まるで必殺技のように、決めシーンとして描かれることが多かったような印象がある。だけどそれも段々と変化し、今では必ずしも決めのシーンではなく、何というわけでもない小さなコマに、多種多様な攻撃の中のひとつとして描かれることも多くなってきたように感じていて、それは新しい武器が手持ちの武器に加わる過程をリアルタイムで見ているようで、それがそのまま「強くなっていく」ということなんだと感じられて、すごく気に入っていて。そしてついに今週音駒でそれが見られるとは、と、少し感動した。音駒にとってもシンクロ攻撃は絶対無敵の必殺技なんかじゃないけど、手持ちの武器にシンクロ攻撃を加えたことは絶対に音駒を強くしてる。そして虎の得点。比較的リアクション大きめなあかねだけど、やっぱり兄のプレーに関しては一際、というところがまたかわいいな〜。
 
 
研磨、「獲らせたくない」って言葉の選び方にはすごく意味があるよね。「獲られたくない」みたいな受動的な表現ではなくて、「獲らせない」という音駒が主導権を持っているような能動的な表現。流石に烏野にわざと点を獲らせる作戦ということではないんだと思うけど、早流川戦の存在もあって音駒はどこまで考えてどんなことをしてくるか、っていうところが本当にわからないんだよね。怖い。
 
 
「守備に秀でている」って、ただ単純に守備が上手い以上の意味があるなと音駒を見ているとやっぱり思う。ボールを落としたら負ける競技である以上、「ボールを落とさない能力」が非常に高いというのはやっぱり強いけど、それだけではない。常に万全の状態から攻撃に繋げられるってことは、常に音駒に分があるといってもいいのだと思う。…という流れの中で。西谷が上げたボールの下に影山が潜り込み、既に跳んでいる日向へ。実況解説が言葉を失うほどっていうのがまたぐっとくるねー。言葉が追いつかないよね。そして音駒を応援する自分とバレーボールが大好きな自分の間で揺れ動いているあかねがまたかわいいなー。
 
 
そしてバケモン、妖怪…などと表現されることの多い日向・影山を「ヘンタイ」と表現する木兎さんと赤葦!これは結構意味のある描写なんじゃないの…と言うのはちょっと大袈裟かもしれないけど。「バケモン(妖怪)」と「ヘンタイ」は全然違う言葉だけど、2人は日向影山の「バケモン性」みたいなものを(あるいはその一部分を)ヘンタイ、と呼んでいる。バケモンとか妖怪は、生まれながらに「何か」を持ってる・或いは持っていない奴ら(でもその「何か」は、それ自体が何かの結果を直接決定するようなものであるとは限らない)というような感じがあって、言葉で捉えきれるものではないけど、定義として挙げるならやっぱり北くんの「侑達のような奴」に関する言葉がそうなんだと思うんだけど。で、今回木兎さんと赤葦が発した「ヘンタイ」って表現は、やっぱりそれとは全然違う。指しているものは同じか、少なくとも重なる部分があるとは言えると思うんだけど。「バケモン」がそもそもの属性(種族?)であるように思えるのに対して、「ヘンタイ」は普通の人間の域を超えている、異常だろ、っていう程度。元々は同じ「普通」の人間で、そこからはみ出してるよな、くらい。個人的な感覚の話だし、日向影山の「バケモン」な部分全部をそのまま「ヘンタイ」と表現してるってわけではないかな、とは思うんだけど、それでもここに来て新しい表現が出て来たことはちょっと新鮮だったし、烏野に感情移入して見ていることも多い木兎さんがこの言葉を使ったことはなんだか嬉しかったんだよな〜。距離を取っていない感じが。
 
 
「わかってた」の黒尾。ここで改めて「はいそうです烏野には作中最強レベルの影山がいるんです」の流れ、いいな。ちょっとこれも音駒が主人公っぽい。影山の「最強」っぷりは烏野には頼もしいどころの話ではないが、相手から見れば当然めちゃくちゃにキツイ、っていうのを完全にネットの向こうの視点から語るのは意外と新鮮かな。音駒戦だからできる見せ方だね。
 
 
今週も満足度が高すぎる…本当に面白すぎるゴミ捨て場、まだ1セットなのが信じられない。次は水曜ジャンプ!